システム監査技術者:2019年 午後Ⅰ 問3

基幹システムのオープン化を題材として、長年保守を繰り返してきたシステムを再構築するプロジェクトの計画段階において想定されるリスクと、システム監査のポイントを問う問題。

IPAの平成31年度 春季試験 午後Ⅰ問題リンク

残念な私の解答

設問解答
設問1現在では使用されていない機能等の識別を行い、再構築の対象外とする計画であること
設問2プログラム変換ツールの変換精度や制約を事前にITベンダに確認し計画に対策を盛り込んでいるか
設問3設計書の内容と実システムの仕様とが一致しておらず、エラーの原因解析に手間取ると想定されるため
設問4WEBユーザインタフェースのプロトタイプを設計段階で作成し、ユーザに操作性を確認する
設問5現行システム全体の機能要件及び業務要件をカバーしたノウハウを集約するための計画

IPAの解答例

設問解答
設問1未使用の機能・画面・帳票について,再構築対象範囲からの除外を検討していること
設問2プログラム変換ツールのトライアル対象範囲が狭過ぎたり,偏ったりしていないこと
設問3設計書が最新ではないので,現新比較テストで不一致発生時に,原因解析に時間を要するから
設問4設計工程にも利用部門が参画し,プロトタイプなどで早期に操作性を確認してもらう。
設問5要件定義書や設計書を整理し,最新の要件や仕様を反映する計画が存在すること

解答の検討

設問1

現行システムのソフトウェア資産を「そのまま」流用すると、本システム再構築のコストが過大になる。分析工程の「計画の詳細」を問われている。
[本システム再構築計画に関するシステム監査]の(2)、箇条書き3番目に「現在では使用されていない機能・画面・帳票も存在する」と記述されている。使用されていないものを再構築の対象範囲としてしまっては、再構築コストが過大になる。したがって、「 未使用の機能・画面・帳票について,再構築対象範囲からの除外を検討していること 」が正解。
実プロジェクトでは、ドキュメントが最新となっておらず、業務全体を知悉した要因がいない中で、未使用の機能を識別するのに非常に時間がかかったりする。

設問2

製造工程でプログラム変換ツールによる変換作業で問題発生して滞ることがないように、分析工程で工夫できることは何か? [本システム再構築計画に関するシステム監査]の(1)③、表2の分析工程で、プログラム変換ツールのトライアル実施が記述されている。「実際にいくつかのプログラムを変換し」てみるとある。対象のプログラムの何%を対象にするかが工夫のしどころである。範囲が狭すぎては評価の精度が低くなる。また、機能特性によって、変換難易度の高いプログラムや低いものがあると想定できる。
「 プログラム変換ツールのトライアル対象範囲が狭過ぎたり,偏ったりしていないこと 」が正解。

設問3

現新比較テストが計画通りに進まないと考えた理由を回答する問題。
[本システム再構築計画に関するシステム監査]の(1)①、箇条書きの4つ目に次の記述がある。「設計書の内容と実際の機能仕様・プログラム仕様とが必ずしも一致していない状態となっており、保守業務ではテスト工程で発生したエラーの原因解析に手間取るケースもある」。設計書が最新でないので、時間がかかると言っている。
「 設計書が最新ではないので,現新比較テストで不一致発生時に,原因解析に時間を要するから 」が正解。

設問4

ユーザ受入テストで、システムの操作性で問題が表面化するリスクの軽減策を答える問題。
表1によると、新システムのUIはWebブラウザが使用される。 [本システム再構築計画に関するシステム監査]の(2)、 箇条書きの2番目に「利用部門はテスト工程から参画する計画である」と書かれているのが引っ掛かる。設計工程から利用部門が参画し、設計書の特に操作にかかわる部分を説明し、同意をとったり、プロトタイプを見せて操作イメージが変わることを予め知っておいてもらったり、NGなところはNGと言っておいてもらったりする必要がある。
「 設計工程にも利用部門が参画し,プロトタイプなどで早期に操作性を確認してもらう。 」が正解。

設問5

第2段階では、「システム機能の再配置、業務処理の最適化など、業務機能を見直す」とある。一方、 [本システム再構築計画に関するシステム監査]の(1)①、箇条書きの5つ目に 「現行システム全体の機能要件及び業務要件について精通した部員がいない」と記述されている。この状況で、 現行システム全体の機能要件及び業務要件をカバーしたノウハウを集約するためにどうすればよいかというと、設計書を最新化するより他の方法はない。「部員を育成する」などよりは確実な方法といえる。
「 要件定義書や設計書を整理し,最新の要件や仕様を反映する計画が存在すること 」が正解。

システム監査技術者:2019年 午後Ⅰ 問2

情報システム部門の体制が十分でない企業を題材として、システム開発計画の監査について問う問題

IPAの平成31年度 春季試験 午後Ⅰ問題リンク

残念な私の解答

設問解答
設問1高中低の重要度の定義が明確に定められており、要望一覧の優先順位が適切に判断できる必要があるから
設問2関連部門の要望を要件定義書にまとめきれず業務要件が固まっていない可能性があるから
設問3委託先に丸投げとせず、成果物を確認することにより進捗状況を適時に把握できるようにするため
設問4A社内ではユーザ受入テスト実施中に問題や不具合が発生した場合の体制
設問5T課長が判断に迷った場合に、営業統括部、システム部で検討する会議体が用意されていること

IPAの解答例

設問解答
設問1重要度の設定の確認だけではプロジェクトとしての優先順位が検討されているかどうか確認できないから
設問2利用部門の代表者の要件定義書の作成への十分な関与を確認する必要があるから
設問3委託先が進捗状況を正確に報告しているかどうかを A 社として確認する必要があるから
設問4ユーザ受入テストの役割分担,体制について明確に定められていること
設問5開発着手後の追加・変更の要求に対応する際の採用条件を明確にし,利用部門と合意すること

解答の検討

設問1

“優先順位が検討されているか”という監査要点に対応する監査手続の不足を把握して、その理由を答える問題。
表1項番1の「監査要点」は「優先順位が検討されているか」である。[予備調査の結果](5)には「要望事項にプロジェクトとしての優先順位を付与した上で、”要望事項一覧”として要件定義書に追記した」と記載されている。重要度を判断してから優先順位を決定するプロセスの確認が、監査手続きから不足している。よって、S氏が”不十分である”と考えた理由は、「 重要度の設定の確認だけではプロジェクトとしての優先順位が検討されているかどうか確認できないから 」。

設問2

”利用部門の代表者が参画しているか”という監査要点に対応する監査手続きの不足を把握して、その理由を答える問題。表1項番3の「監査要点」は「利用部門の代表者が参画しているか」であることに注意する。体制図に利用部門の代表者が記載されているだけでは、実質的な参画を行っているかが判断できない。そこで、「要件定義書作成時」の議事録の閲覧から発言内容を確認したり、体制図に記載された利用部門の代表者にヒアリングを行って、十分な関与をしているか確認する必要がある。
「利用部門の代表者の要件定義書の作成への十分な関与を確認する必要があるから」が正解。

設問3

”委託先の進捗状況を適時に、正確に把握できるようになっているか” という監査要点に対応する監査手続きの不足を把握して、その理由を答える問題。
[リスクの洗い出し](3)に、”丸投げ”の状態になり、”進捗状況を十分に把握できず、進捗遅れ・予算超過を適時に把握できない” などのリスクがあげられている。適時に進捗会議を実施することや、成果物の一部やテストの結果を提出してもらい、システム部が進捗報告の内容と差異がないか比較することにより、委託先が進捗状況を正確に報告しているかどうかを確認することができる。
正解は「 委託先が進捗状況を正確に報告しているかどうかを A 社として確認する必要があるから 」。

設問4

”本番リリースまでの体制と役割が、明確に定められているか” という監査要点に対応する監査手続きの不足を把握して、確認すべき具体的な内容を答える問題。
[予備調査の結果](7)に「検収完了後から本番リリース準備開始前までにA社内でユーザ受入テストを実施する」と書かれている。[本調査の実施](1)では「検収完了後の体制については確認できなかった」とあり、体制と役割があいまいになっている可能性が考えられる。
そこで、「 ユーザ受入テストの役割分担,体制について明確に定められていること」を確認することにしたと考えられる。

設問5

[本調査の実施](2)には「S氏は利用部門向けにも”要件の追加・変更に関する手順” の周知が必要」と指摘し、続いて「要件の追加・変更の要求がある程度増えても期間内に対応できるような対策が設けられているかどうか」の監査手続きを追加するとしている。利用部門向けの対策問うているところがポイント。要件がスタックされても、対応可否の敷居をあらかじめ、利用部門と合意しておくことで、期間内に対応できるようにする。
「 開発着手後の追加・変更の要求に対応する際の採用条件を明確にし,利用部門と合意すること」が正解。

Ubuntu20.04でRPCS3エミュレータを動かしてみた

最新の情報に更新しました。以下を参照ください。

LinuxでPlayStation 3マシンに仕立てる

RPCS3は、WindowsやLinuxで動作する、オープンソースのSony PlayStation 3エミュレーターです。UbuntuやSparky Linux Gameover Editionでの動作が期待できます。今回はUbuntu20.04での紹介です。

https://rpcs3.netにアクセスして、最上部にある「Download」をクリック

「Download for Linux」をクリック。エミュレータの実行モジュールをダウンロード。

次にPS3のシステムソフトウェアをダウンロードします。
最上部の「Quickstart」をクリック・

「PlayStation 3 System Software」をクリック。

「AGREE AND DOWNLOAD NOW」をクリック。「ダウンロード」にシステムソフトウェア「PS3UPDAT.PUP」を保存します。

ここからはコマンドラインで作業を行います。
次の場所に保存するものとします。
RPCS3実行モジュール:$HOME/games/bin
システムソフトウェア:$HOME/games/bios

cd
mkdir -p games/bios
mkdir games/bin
mv ダウンロード/PS3UPDAT.PUP games/bios
mv ダウンロード/rpcs3-v0.0.9-9930-33d01fd2_linux64.AppImage games/bin/rpcs3.AppImage

上記の、「rpcs3-v0.0.9-9930-33d01fd2_linux64.AppImage」というファイル名は異なる可能性があります。
次に実行モジュールに実行権を与え、起動します。

cd games/bin
chmod a+x rpcs3.AppImage
./rpcs3.AppImage

次の画面で「I have read the Quickstart guide」にチェックし、「Continue」をクリック。

RPCS3に、PS3のシステムソフトウェアを読み込ませます。
メニューの「File」>「Install Firmware」をクリック。し、ダイアログボックス「Select PS3UPDAT.PUP To install」を表示させます。

システムソフトウェアが保存されている場所($HOME/games/bios/PS3UPDAT.PUP)を指定して、「Open」をクリック。

Success!と表示されればOK。続いてCompiling PPU modulesというプログレスバーが表示されます。

上記プログレスバーが100%になれば完了。

今回、ゲームパッドとしてLogicool Gamingpad F310を使用します。まず最初に、コントローラの背面を確認し、スイッチが「X」の位置にあることを確認します。その後、USBポートに接続し、rpcs3の「Pads」アイコンか、メニューの「Configration」>「Pads」を選択します。「Gamepad Settings」画面で各ボタンの設定をすれば準備完了です。

ゲームのメディアをマウントし、Openアイコンから「Select Game Folder」を開き、ゲームのフォルダ(ディレクトリ)を指定すれば、ゲームを始められるでしょう。

ISOファイルでゲームを開始するにはひと手間必要になります。ISOファイルをマウントする必要があるからです。ISOファイルもCDやDVDと同様にマウントが可能です。次の手順を実行ください。

sudo mkdir /media/iso
sudo mount -t iso9660 -o loop <ISOファイルのパス> /media/iso/

上記手順で、無事ゲームを実行することができました。ハードウェア環境は、CPUがCore(TM) i7-3770K CPU @ 3.50GHz、グラフィックボードがGeForce GTX 570と少し古いシステム構成です。やや重く感じられましたが、十分楽しめるレベルです。

Ubuntu20.04LTSでPCSX2

Ubuntu20.04LTSでは、標準のリポジトリからPCSX2をインストールできる。

sudo apt update
sudo apt install pcsx2

次に、あなた自身が所有するPS2本体から吸い出したBIOSを準備。
/home/[ユーザ名]/.config/PCSX2/biosに上記BIOSをコピーする。ここで[ユーザ名]はあなたがインストール時に設定したユーザ名である。

BIOSのコピーが終わったら、PCSX2を起動。初回のみ、次の画面が表示されるので、言語を選択して「次へ」。

次の画面で、GS(グラフィクス)を環境にあったものに設定して「次へ」。AVX2の設定でプラグインのエラーになる場合は、SSEなど、他の選択肢を試してみるとよい。

次の画面でBIOSの参照パスを指定する。
デフォルトは/home/[ユーザ名]/.config/PCSX2/bios。
「完了」をクリックし、次の画面が表示されればOK。

Ubuntu18.04で遊ぶ場合

Ubuntu18.04LTSでは、標準のリポジトリからPCSX2をインストールできるが、バージョンは安定板の1.4.0となる。Ubuntu19.10のように、バージョン1.5.0をインストールしたい場合は、次のようにする。

sudo dpkg --add-architecture i386
sudo add-apt-repository ppa:pcsx2-team/pcsx2-daily
sudo apt update
sudo apt install pcsx2-unstable

ちなみに、安定板のリポジトリからインストールする場合は、次の通り。

sudo dpkg --add-architecture i386
sudo add-apt-repository ppa:gregory-hainaut/pcsx2.official.ppa
sudo apt update
sudo apt install pcsx2

結果的には、標準のリポジトリからインストールしたのと同じになる。

ちょい古PCをゲーム専用機にする

Linux版 PCSX2でPlayStation2のゲームを遊べるようにしよう

構築環境

ノートPC:GALLERIA QF765HE(2014年製)
CPU:Core i7-4700MQ
グラボ:GeForce GTX 765M
メモリー:8GB

前提となること

あなた自身が所有するPlayStation 2本体から吸い出したBIOSがあること。

はじめに

PCSX2は、オープンソースのPlayStation 2(以下PS2)エミュレータです。Linuxで動作します。ファイナルファンタジーXなどの人気タイトルを含めて、ほとんどのゲームをフルスピードで実行できます。公式ホームページによると、2500以上のタイトルがテストされ、互換性が確保されているようです。
一方、Linuxディストリビューション「Sparky Linux Gameover Edition」はゲーマーを対象としており、非常に多くのゲームが遊べて、便利なツールも備えています。ゲームのエミュレータを比較的簡単に使える環境と言えます。今回は、2020.02 Special Editionsを使用しています。

構築の手順

インストール

Sparky Linux Gameover Editionを入手します。

ISOをブートメディアに焼いてPCをブートします。
Sparky Linuxのライブ環境が立ち上がり、デスクトップにある「Sparky Installer」をダブルクリックします。インストーラが起動し、インストールが開始します。

「日本語」を選択。

PCのディスクをすべて消去し、ディスク全体を使用する場合は「ディスクの消去」を選択。

ログイン名とパスワードを設定。

最終確認後、次の画面へ。

インストールが開始されます。次の完了画面が表示されれば、ここまでは順調。再起動。

Sparky Linuxの初回起動時には次の画面が表示されるので、「OK」をクリック。

いよいよ、PCSX2のインストールです。スタートメニューから「システム」の「APTus」を選択。

APTusの左ペインから「ゲーム」を選択し、右ペインから「PCSX2」を選択。

インストールをクリック後、コマンドラインのウインドウが表示されるので、「y」を入力して「Enter」。

PCSX2の設定と起動

スタートメニューの「ゲーム」カテゴリーからPCSX2を起動します。初回起動時には環境設定画面が表示されます。言語選択ではデフォルトでも構いませんが、私は日本語(japanese)を設定しました。「適用」を押して「次へ」。

次の画面はそのままで「次へ」。

ここで、あなた自身が所有するPS2本体から吸い出したBIOSを準備します。
/home/[ユーザ名]/.config/PCSX2/biosに上記BIOSをコピーします。ここで[ユーザ名]はあなたがインストール時に設定したユーザ名です。

次の画面でBIOSの参照パスを指定します。
デフォルトは/home/[ユーザ名]/.config/PCSX2/biosです。
「完了」をクリックし、次の画面が表示されれば、ここまでOK。

「設定」メニューから「コントローラー(PAD)」>「プラグイン設定」を選択し、ゲームパッドの設定をします。

ここまでが設定です。
あとはゲームを用意して起動するだけです。
ゲームが開始されれば成功です。

システム監査技術者:2019年 午後Ⅰ 問1

RPA システムを題材とた,新技術を活用したシステムの開発と導入の監査に関する問題。

IPAの平成31年度 春季試験 午後Ⅰ問題リンク

残念な私の解答

設問解答
設問1機能追加や改修を行う際に共通化した部分に影響し、複数のシステムに影響するリスク
設問2従来のレスポンス遅延などの苦情があった機能に加えて、さらにレスポンス遅延の苦情が増加する
設問3作業目的や作業方法などの背景を説明資料から確認し、ロボット処理で問題がないことを確認する
設問4関連システムの改修・リリースにあわせてロボット処理も適切に改修されるプロセスとなっているか
設問5実行環境のロボットの稼働回数・稼働時間などから削減された時間等を算出する

IPAの解答例

設問解答
設問1類似作業の差異を考慮しないで共通化することにより,業務に支障が生じる。
設問2処理速度が速くなるので,関連システムの負荷が増大して,レスポンスが低下する。
設問3ロボットの使用する ID とパスワードをアクセス制限された環境で保管していること
設問4関連システム改修時に,RPA システムの管理部署に連絡し影響調査をする規定があること
設問5ロボットの稼働回数・稼働時間などのデータを分析し,費用対効果を検証すること

解答の検討

設問1

RPA導入によって、類似作業を共通化した場合の、業務にかかわるリスクを答える問題。[本調査の結果](1)に、「共通化しようとする類似作業の差異分析、共通化した場合の影響評価などが検討されていた」とある。差異分析が不十分だと、共通化しても機能が足りなかったり、間違っていたりする可能性がある。果ては、共通部分を改修した結果、そのモジュールを使用している他の機能に影響が出て、業務に支障が出る可能性も考えられる。
「類似作業の差異を考慮しないで共通化することにより、業務に支障が生じる。」が正解。リスクを問う設問では、原因だけではなく、業務に支障が生じるといった結果まで明確に述べる必要がある。

設問2

「関連システムの稼働にかかわるリスク」を答える問題。[予備調査2]の(5)に、「業務量座右化によるレスポンス遅延などの苦情が出ているものがある。現時点では大きな再構築計画はない」とある。RPAが実行されると操作が迅速に行われるため、システムへの負荷は増加すると考えられる。
「処理速度が速くなるので,関連システムの負荷が増大して,レスポンスが低下する。 」が正解。

設問3

[本調査の結果]の(4)では、IDとパスワードについて、「関連システムにおける管理」だけでは不十分なので、「RPAシステムにおける」管理方法について説明資料から確認している。運用部門から発行されたIDとパスワードは、RPAの特性上、関連システムとは別に保管されており、二重管理されている。
「ロボットの使用するIDとパスワードをアクセス制限された環境で保管していること」が正解。

設問4

変更管理プロセスの手順書について確認すべき内容を答える問題。 [予備調査2]の (5)に「業務の見直し、法令対応に合わせて、数か月ごとに改修が行われている」と記述されている。その直前の(4)には、「関連システムの管理部署には、RPAシステムの管理部署から、ロボット処理の対象になることを事前に連絡して、ロボット処理による操作を行て問題がないことを確認する。」とある。ここで影響度調査を行うコントロールが規定されていることが重要である。
「関連システム改修時に、RPAシステムの管理部署に連絡し影響調査をする規定があること」が正解。

設問5

費用対効果について検討しているなかで、情報システム部が計画していると考えられる取組の内容を答える。[予備調査1]の(2)③に「管理画面からは、実行環境のロボットの稼働状況を閲覧でき、ロボットの稼働回数・稼働時間などのデータをダウンロードして分析することも可能」とある。これを分析すれば、どの程度仕事が楽になったかがわかりそうである。
「ロボットの稼働回数・稼働時間などのデータを分析し、費用対効果を検証すること」が正解。

ITストラテジスト:2015年 午後I 問2

食品メーカの業務改善

IPAの平成27年度 秋季試験 午後Ⅰ問題リンク

残念な私の解答

設問残念な解答備考
設問1(1)輸送中の製品の温度管理規準を遵守できる業者かどうか
(2)製品のロットごとの出荷先をトレースできるため製造品質の保証が可能となった
設問2(1)営業部員が製品の生産計画を確認できるため顧客への納期の回答が迅速に出来る
(2)地域主要顧客が行う特売などのイベントの企画情報の確認
設問3(1)1回の発注数量を多くすることにより仕入れ価格の交渉が有利になるから
(2)製造ロット番号、納入先、日付、製品名、数量、顧客名の情報

IPAの解答例

設問IPAの解答例備考
設問1(1)輸送中の製品の温度管理が可能なこと
(2)在庫の不足がなくなるので、納入日数の指標が提供できる。
設問2(1)営業部員が生産計画情報をいつでも確認できるので、納期の回答が早くなる。
(2)地域主要顧客が行う特売などのイベントの企画情報の確認
設問3(1)本社でまとめて発注するので、仕入れ価格の削減を交渉する。
(2)他社の製品に関わる顧客への出荷情報と製造ロット番号

解答の検討

設問1 (1)

物流業務の改善における、輸送業者の選定に関して追加する基準を解答する。冒頭文の2段落目に「“食の安全”という観点から、… 顧客からは、工場、製品倉庫、倉庫での、保管時・輸送時の品質を保障する温度管理への要求がより厳しくなっている。」と背景が書かれている。そして、〔物流業務の現状〕に「輸送中の製品の温度管理は輸送業者に任せているが、温度管理が出来ていない業者もある。」と記述されている。
業者による、「 輸送中の製品の温度管理が可能なこと 」が正解。

設問1 (2)

物流業務の改善によって顧客の要望に対して可能となった点について解答する問題。トレーサビリティ確保による製品品質の保証を解答とするか迷う。
〔物流業務の現状〕に「倉庫の在庫を合計すれば…余裕がある。…補充を依頼するときは、顧客への納入日を遅らせるように調整。発注から納入までの所要日数の変動が大きく、顧客から納入日数の指標を提供してほしいという要望がある。」と記述されている。ここで、複数の倉庫から1箇所の物流センタで倉庫を一括管理するように変更することによって倉庫間の製品の補充をなくせると考えられる。そして、発注から納入までの所要日数の変動を抑止できるので、納入日数の指標を提示することが可能となる。「 在庫の不足がなくなるので、納入日数の指標が提供できる。」が正解。

設問2 (1)

計画システムと販売システムを接続すると顧客の不満をどのように解決できるか。〔営業業務の概要と現状〕に顧客からは納期について早期の解答が求められるが、営業部員は生産計画の状況を把握していないので、回答が遅くなり顧客から不満を受ける、とある。営業部員が生産計画を把握できれば解決できると考えられる。〔計画業務の現状〕では、「販売管理システムに入力した顧客ごとの受注情報に対応して、生産計画の予定と実績が分かるように情報を管理している。計画システムと販売管理システムは接続していない。」とあるので、 計画システムと販売管理システムを接続すれば、営業部員が計画システムの情報を確認できると考えられる。その結果、迅速な顧客への納期回答が可能となる。
「営業部員が生産計画情報をいつでも確認できるので、納期の回答が早くなる。」が正解。

設問2 (2)

営業業務の改善によって、支社・営業所の営業部員が確認すべき情報を答える問題。
〔営業業務の概要と現状〕に営業部員は「特売などのイベントの企画情報の確認が不足している。」との記述がある。また、〔計画業務の現状〕に「イベントなどで大口の注文が急にあると、生産計画の変更が間に合わず、受注できていない。」とある。イベントの企画情報をキャッチアップして生産計画に反映できれば、機会損失を防止できると考えられる。ここでも、計画システムと販売システムが接続されていることが前提となる。「地域主要顧客が行う特売などのイベントの企画情報」が正解。

設問3 (1)

他社製品の取り扱いの見直しによる利益改善の施策について問う問題。
〔他社製品の取り扱いの見直し〕では、「他社製品の発注は、営業所ではなく、本社の営業部でまとめて行う。」とある。本社の営業部が発注をまとめて行うことによって価格交渉の優位性が高まると考えられる。
「本社でまとめて発注するので、仕入れ価格の削減を交渉する。」が正解。

設問3 (2)

物流部が他社に提供すべき情報を問う問題。
〔他社製品の取扱いの見直し〕に「他社はトレーサビリティの管理をするために、物流部に対して必要な情報を提供するように要求した。」とあるので、トレーサビリティに関する情報を提供することが分かる。〔物流業務の改善検討〕では「トレーサビリティ管理では、出荷情報と出荷した製品の製品ロット番号を関連付けて管理する」とある。「 他社の製品に関わる顧客への出荷情報と製造ロット番号 」が正解。

ITストラテジスト:2015年 午後Ⅰ 問1

グローバルな環境での業務遂行体制の確立

IPAの平成27年度 秋季試験 午後Ⅰ問題リンク

設問残念な解答備考
設問1(1)抵抗感の少ないシステム開発費用の負担額とすること
(2)ハードウェア面真に必要なサーバ台数に絞込み、運用負荷を低減する
要員面要員個々が保有しているノウハウを形式知化し、継承可とする
設問2(1)個別工事の原価情報を正確に収集し、期末の原価予想の信頼性を高くするため
(2)識別コード体系を本社と各海外子会社で統一する
設問3(1)JVの社員にA社の識別コードを与えず、適切な権限を与える
(2)業務遂行時に本社の情報を適切に参照できる機能
設問解答備考
設問1(1)海外子会社のコスト負担を軽減すること
(2)ハードウェア面サーバの用途や利用状況を見直し、サーバ台数を削減する。
要員面運用の負荷を軽減しサポート可能な要員の割合を増やす。
設問2(1)個別工事の管理情報を正確に収集し、期末原価予想を正確に行うこと
(2)識別コード体系を見直しグループ全体で一元化する。
設問3(1)資格,権限,役割ごとに情報へのアクセス権限を明確にする。
(2)海外子会社から本社の情報を参照できる機能

解答の検討

設問1(1)

まず、設問が「海外子会社の状況を踏まえ、考慮すべきこと」とあるので、問題文で該当箇所を探す。[海外子会社の課題]に「情報システムなどの管理業務にかけられる予算が少ない。」と記述されている。また、[本社システム部の課題]に「海外子会社の状況から、システム開発費用の負担を迫ると、導入の抵抗勢力になったり、導入自体を拒否されたりする恐れがある。」とある。 海外子会社は情報システムなどの管理業務に掛けられる予算は少ないという状況において、 抵抗勢力にならないために考慮すべきこと 、アクションプランが円滑に受け入れられるようにするために考慮しておくこととは、何か。
「 海外子会社のコスト負担を軽減すること 」が正解。

設問1(2)

[本社システム部の課題]に「個別システムのための開発・検証用サーバが見直されることなく運用されているので、数百台規模のサーバ群となっており」とあり、「個々のサーバについて用途や利用状況を見直し、運用負荷を低減するための対策が必要」と記述されている。そのため、ハードウェア面の正解は「 サーバの用途や利用状況を見直し,サーバ台数を削減す る。 」である。
要員面は、「要員の補充は難しく」とあるので、要員を増やす以外の方策を考える必要がある。そのためには、ハードウエア面等から「 運用の負荷を軽減し」、海外子会社の「サポート可能な要員の割合を増やす」が正解となる。

設問2(1)

[業務上の課題]の3に「個別工事の管理資料が必ずしも正確に集約されているわけではなく、結果として、期末に原価予想がずれることがあった。」とある。「この問題を解消するために、個別工事の進捗やコストの管理情報が会計報告資料に直接結びつくよう、工事管理情報を正確に集約する仕組みが必要」と書かれている。
「 個別工事の管理情報を正確に集約し,期末原価予想を正確に行うこと 」が正解。

設問2(2)

[海外子会社の課題]の3に、「一人で複数の識別コードを持つことになり、グループ全体の要員を把握する上で障害となっている」とある。さらに、[全体システム化計画]の表2には、「要員を一元管理し、資格、権限、役割、情報へのアクセス権限などの基礎情報を管理する」と記述されている。一元管理のためには識別コード体系を見直す必要がある。
「 識別コード体系を見直しグループ全体で一元化する。 」が正解。

設問3(1)

[業務上の課題]の4に「JVの社員にもA社の識別コードを設定している。その結果、…情報セキュリティの観点からの見直しが求められている」と記述されている。 [全体システム化計画]の表2の、「要員を一元管理し、資格、権限、役割、情報へのアクセス権限などの基礎情報を管理する」 の記述を踏まえ解答を考える。IPAの解答から、JVの社員に限らない解答が求められるようである。
「 資格,権限,役割ごとに情報へのアクセス権限を明確にする。 」が正解。

設問3(2)

[海外子会社の課題]の2に、「業務遂行時に本社の情報を参照できないので、業務が非効率になっていたり、業務手順が本社の業務規程から外れていたりするなどの問題点を解消してほしいとの要求が本社に寄せられている」とあるので、「 海外子会社から本社の情報を参照できる機能 」が正解。このような簡単な問題が最後に配置されていたりするので、時間配分は重要。

アナリスト:2004年 午後Ⅰ 問1

食品メーカーの事業構造改革

IPAの平成16年度 秋季試験 午後Ⅰ問題リンク

設問残念な解答
設問1仕入販売事業加工食品事業への売上が増加する
加工食品事業S社ブランドの加工食品を開発できる
設問2仕入部門海外から高品質の食材を安定して仕入れる業務
生産部門加工食品事業が使用可能な素材の選択や形状の加工を行う業務
販売部門標準原価制度を設けて加工食品事業との売上予実績管理を行う
設問3各事業の販売計画と仕入生産計画を監視する期間(月次など)を調整する
設問IPAの解答をもとにした解答
設問1仕入販売事業加工食品事業への売上高が増加する
加工食品事業品質の高い原材料が調達できる
設問2仕入部門週次生産計画に基づいた海外からの高品質食材の安定仕入れ業務
生産部門加工食品事業が使用可能な素材の選択や形状の加工を行う業務
販売部門加工食品事業の調達計画と連動した週次販売計画の立案
設問3加工食品事業が仕入販売事業から調達する原材料の社内価格の決定方法

設問3の解答について述べる。
[加工食品事業の現状]に「加工食品事業が調達する原材料の社内価格は、仕入販売事業が原価に一定の利益を加算して決定している。」とある。この点を捉えて、適正な社内価格を調整することが、利益管理制度の導入にあたって、プロジェクトチームが各事業部と行うことになる。

ITストラテジスト:2018年 午後Ⅰ 問1

AIの機能を活用した新サービスの検討

証券会社のコールセンターのサービス高度化をテーマに、現状分析、新サービスの検討、新サービスの導入効果を答える問題。
IPAの平成30年(2018年)度 秋季試験 午後Ⅰ問題リンク


IPAの解答例

設問1: (1) 表示する回答候補の精度が向上するから
    (2) 回答候補がない場合にオペレータが自ら探した回答のデータ

設問2: (1) 新サービスによって自ら問題を解決できること
    (2) 顧客へのコールバックに切り替えることで解決できた質問及び回答

設問3: (1) 全体の問合せに対するチャットボットへの問合せの割合
    (2) 作業内容:メールによる問合せへの回答
      効果 :時間外勤務による業務コストの削減

残念な回答例

設問1: (1) AIの機能が回答候補を表示し、迅速に回答できるから
    (2) FAQやオペレータ用のリファレンスマニュアルから回答した内容

設問2: (1) 問合せの回答をいつでも待たされずに得られること
    (2) 頻繁にある質問や調べるのに時間を要する質問、FAQ等にない質問など

設問3: (1) 全問い合わせ件数中、チャットボットが利用されている割合
    (2) 作業内容:受付時間外のメールによる問合せへの回答
      効果 :電話とメールの減少による時間外勤務の減少

解答の検討

設問1 (1)

AIの機能によって、オペレータの問合せへの対応品質が向上していく「理由」を回答する。AIの機能により複数の回答候補が用意され、表示される。また、オペレータが選択した回答は記録され、AIが学習して、表示する回答候補の精度が向上していく。ここで対応品質というと、回答するレスポンスの迅速性を答えるか、AIの回答候補の精度を答えるかで迷う。設問の趣旨としては対応品質が継続的に向上していく理由を求めているので、AIによる学習効果によって回答候補の精度が向上することが、対応品質が向上する「理由」と読み取る必要がある。よって、「 表示する回答候補の精度が向上するから 」が正解。


設問1 (2)

AIが用意した複数の回答候補のどれを選択したかが、AIにフィードバックされ、精度が向上するわけであるが、それ以外に活用すべきデータを答える設問。AIが回答候補を示せなかった場合や、回答候補に適切な回答が無かった場合は、「オペレータはFAQやオペレータ用のリファレンスマニュアルから探して回答する」とある。
「 回答候補がない場合にオペレータが自ら探した回答のデータ 」が正解。


設問2 (1)

新サービスによって顧客のどのようなニーズに応えようとしているかを回答する。
顧客は少ない労力で素早く疑問を解消したいと思っている。ここで、「365日24時間質問を受け付ける」などの回答が頭をよぎるが、この回答では顧客のニーズの実現手段になってしまう。[新サービスの検討]には、「問い合わせをする前に、FAQやヘルプの検索などのセルフサービス機能での解決を試みていることが分かった」と記述されており、自ら問題を解決しようとしていることがヒントとして示されている。電話やメールよりさらに手軽に解決できることがニーズととらえると、 「新サービスによって自ら問題を解決できること 」が正解となる。

設問2 (2)

チャットボットだけで解決できる顧客を増やすために、AIに学習させるべきデータとは何か。
[新サービスの検討]に、「チャットボットだけで解決できない場合は、顧客へのコールバックに切り替えることで解決」と書かれている。おそらく、オペレータから顧客に、電話やメールでオペレータが探した回答を返していると思われる。この回答をチャットボットで解決できるようにしなければならない。
よって、「 顧客へのコールバックに切り替えることで解決できた質問及び回答 」が正解。

設問3 (1)

導入効果を測定するための指標として、チャットボットの利用状況に関するKPIを答える。
[新サービスの導入効果]を見ると、導入効果が確認されれば「オペレータによる問合せへの対応を平日にする計画である」とある。顧客満足度を低下させずにこれを実現するためには、チャットボットによって電話やメールが少なくなっている必要がある。これが確認できるKPIが正解となる。チャットボットが利用される割合が多く、それが有効に機能していれば、相対的にメールや電話は減少する。
「 全体の問合せに対するチャットボットへの問合せの割合 」が正解。

設問3 (2)

業務コストが抑制できる要因を答える設問。
冒頭部分に「電話による問合せに対応するオペレータが、手すきの時に、メールに回答する。」とあり、[電話による問合せ対応の現状]には「電話による注文の件数が多い場合、<略>注文への対応へシフトさせるので、問い合わせへの対応が手薄になるという問題を抱えていた。」とある。
[メールによる問合せ対応の状況]を見ると、「電話による問合せが多い日は、受付時間内に<略>時間が取れないこともある。<略>時間外勤務をして、<略>」とある。「時間外勤務によって、業務コストも増加している。」とも記述されている。チャットボットが広く利用されるようになれば、電話やメールでの問合せが減ることが期待され、メールの回答を行う作業を時間外で行う頻度も減少するだろう。
よって、作業内容は「 メールによる問合せへの回答 」が正解。効果は「 時間外勤務による業務コストの削減 」が正解。