はじめに
仮想環境のMacが欲しいと思うときってどんな時でしょうか。
- 実験的なことをやってみたいが、失敗するとMac環境を壊してしまう
- あきるまで徹底的にmacOSをいじくりまわしたい
- もし失敗したときに、かんたんに失敗前の状態に戻したい
- MacOSを使っているところをみんなに見せたい
動機はさまざまですが、そのような場合、Windows上にVirtualBoxでMac環境を構築してしまうのも選択肢の一つといえます。
仮想環境なのでホストマシンのスペックが高くても、実マシンと同じというわけにはいきません。GPUを使用するAIの実行や動画編集には向かないでしょう。しかし、活用できるシーンは多くあると思います。
スナップショットを撮っておけばおけば、時間を巻き戻せるのも魅力です。
ぜひ、本稿を参考にしてMacにチャレンジしてみてください。
【あくまで参考】PCに必要なスペックとは
- CPU①:インテルかAMD
- CPU②:論理コア数4以上(仮想マシンに2コア必要)
- メモリ:8GB以上(仮想マシンに4GB必要)
- ストレージ:空き容量が50GB以上。
仮想化の準備をしよう
MontereyのISOイメージを手に入れよう
仮想マシンを構築するためのインストール元となるISOイメージを こちらのリンク などからダウンロードします。
Macをお持ちの方は…
Macをお持ちの方は、Macで Monterey をダウンロードしたほうが最新のイメージが入手できますし、早いかもしれません。その場合、ISOイメージに変換する必要がありますが、それらの手順は省略します。
PCのBIOSから仮想化の設定をしよう
お使いのPCのBIOS等から「仮想化」を有効化してください。 具体的な設定方法はPCによって異なるため、メーカの説明書やWebの情報を参照ください。
VirtualBoxをすでにお使いの方への注意事項
VirtualBoxをすでにお使いの方は、必ずバックアップを取ってから試すことをお勧めします。
VirtualBoxをインストールしよう
VirtualBoxのバージョン6をインストールします。本稿の執筆時点でのバージョンは6.1.30です。
ここでは、VirtualBoxのインストール手順の説明を省略し、インストール後を前提として説明します。
新しい仮想マシンの器を作ろう
第1段階の設定を行う
仮想マシンの設定は2段階に分けて行います。まず、第1段階目の設定をこれから実施します。
VirtualBoxを起動し、Oracle VM VirtualBox Manager上部にある青い[新規]アイコンをクリックします。
これから作成する仮想マシンは、仮想マシン個々その「名前」で識別されます。名前は任意で決められますが、ここでは「 Monterey 」としました。
続いて「タイプ」を「Mac OS Ⅹ」とします。バージョンは「Mac OS Ⅹ(64-bit)」を選択します。
最後に「次へ」をクリックします。
「仮想マシンの作成」画面、「メモリーサイズ」では、ホストマシンのリソースに応じたメモリサイズを指定します。4GB以上を指定する必要があります。私は約6GBとしました。
「次へ」をクリックします。
「ハードディスク」はデフォルトのままでよいでしょう。
「作成」をクリックします。
「ハードディスクのファイルタイプ」もデフォルトのままとします。
[次へ]をクリックします。
「物理ハードディスクにあるストレージ」では、「可変サイズ」のままとします。ストレージの容量は動的に割り当てられます。
[次へ]をクリックします。
「ファイルの場所とサイズ」では、仮想ディスク最大サイズを入力します。50GB以上で、PCのディスク(SSD)空き領域に応じたサイズとします。ここでは約120GBとしました。
[作成]をクリックします。
第2段階目の設定を行う
「Oracle VM VirtualBoxマネージャ」の上部にある黄色の「設定」アイコンをクリックし、設定画面を開きます。
設定画面左のメニュー一覧から[システム]を選択し、「マザーボード」タブの「起動順序」にある「フロッピー」のチェックを外します。
次に「プロセッサー」タブに移ります。
CPU(プロセッサー)は2個以上を割り当てます。可能であれば、ホストマシンの論理CPU数の2分の1程度を割り当てるとよいでしょう。
左から「ディスプレイ」を選択し、「スクリーン」タブの「ビデオメモリー」を128MBに変更します。
次はmacOSのISOファイルを読み込むための設定です。
①左ペインの「ストレージ」を選択し、②「ストレージデバイス」欄の「空」のDVDをクリックします。
続いて③右側の「属性」にある「光学ドライブ」右端の青いDVDアイコンをクリックします。するとメニューが表示されるので、④「ディスクファイルを選択」をクリックします。
次に表示される「仮想光学ディスクファイルを選択してください」画面で Monterey のISOファイルを選択します。
これで中央ペインのDVDアイコンにISOファイル名が表示されました。
[OK]をクリックします。
VirtualBoxマネージャに仮想マシン「 Monterey 」のスタートボタンが表示されますが、まだ起動しないでください。
ここで必ず、VirtualBoxを終了しておきます。VirtualBoxが動作していると、この後の作業が反映されません。
「コード」を実行しよう
CPUによってコードが違います
これから、VirtualBox上でmacOSがインストールできるようにするための「コード」と呼ばれるコマンドをコマンドプロンプトから実行します。
PCのプロセッサがインテル系のCPUか、AMD系のCPUかで実行すべきコードが増減します。
次のコードはインテルCPU向けのコードです。
cd "%programfiles%\Oracle\VirtualBox\" VBoxManage.exe modifyvm "Monterey" --cpuidset 00000001 000106e5 00100800 0098e3fd bfebfbff VBoxManage setextradata "Monterey" "VBoxInternal/Devices/efi/0/Config/DmiSystemProduct" "MacBookPro15,1" VBoxManage setextradata "Monterey" "VBoxInternal/Devices/efi/0/Config/DmiSystemVersion" "1.0" VBoxManage setextradata "Monterey" "VBoxInternal/Devices/efi/0/Config/DmiBoardProduct" "Mac-551B86E5744E2388" VBoxManage setextradata "Monterey" "VBoxInternal/Devices/smc/0/Config/DeviceKey" "ourhardworkbythesewordsguardedpleasedontsteal(c)AppleComputerInc" VBoxManage setextradata "Monterey" "VBoxInternal/Devices/smc/0/Config/GetKeyFromRealSMC" 1
AMD系のCPUは、上記のコードに加えて、次のコードも実行する必要があります。
VBoxManage modifyvm "Mac OS 12" --cpu-profile "Intel Core i7-6700K"
コードの仮想マシン名を変更しよう
ここで上記のコードは、仮想マシンの名前を「 Monterey 」と命名している場合に対応しています。なので、上記のコードを実行する前に、コードの中の「”Monterey”」という文字列を、あなたがつけた仮想マシン名に変更する必要があります。もちろん、最初から「 Monterey 」にしている方は、次の作業は不要です。
「メモ帳」を開きます。開いたメモ帳に、上記のコードをコピペします。次に「 Monterey 」の部分をマウスで選択しておきます。6カ所あるうちの1カ所だけでOKです。
ここで[Ctrl]+[H]キーを押すと「置換」ダイアログが開きます。
①検索する文字列が「 Monterey 」になっていることを確かめます。
②置換後の文字列を入力します。ここでは例として、あなたの仮想マシンの名前が「macOS 12 Monterey」である場合とします。
③[すべて置換]をクリックします。
一括変換後のメモ帳です。
いよいよコードを実行しよう
上記のコードを1行ずつ実行します。
まず、コマンドプロンプトを管理者モードで開きます。
メモ帳等からコードをコマンドプロンプトにコピペし、1行ずつコマンドを実行します。くれぐれも、CPUの種類を間違えないようにしましょう。
これでようやく、VirtualBoxにmacOSをインストールする準備ができました。
Monterey をインストールしよう
MacOSのインストールと設定
ここで再度、VirtualBoxを起動し、 Monterey のインストールと設定を行います。ここまでの作業が正しければ、アップルマークが表示されて、インストーラが起動するはずです。
左ペインから仮想マシン名を選択し、上部の緑色の起動アイコンをクリックします。
とてもドキドキする瞬間です。無事に次の画面が表示されました。
「日本語」を選択します。
この作業はわかりにくいところかもしれません。
おおまかに次の作業を行います。
- ディスクユーティリティで空のインストールメディアを作成、
- OSをインストール
まず、[ディスクユーティリティ」を選択して[続ける]をクリックします
空のドライブを作成するため、以下の手順を行います。
- 左の[VBOX HARDDISK Media]を選択
- 右上の[消去]をクリック
ここがわかりにくいところですが、これからドライブを「消去」し、新しい空のドライブを作成します。その新しいドライブ名を指定します。
私は「appledisk」としました。名称は任意で決められます。デフォルトの「名称未設定」のままでもかまいません。
名前を入力したら、[消去]をクリックします。
新しいドライブの作成が完了したので、[完了]をクリック。
赤い[×]をクリックし、ディスクユーティリティを終了します。
[macOS Monterey インストール]を選択し、[続ける]をクリック。 [続ける]をクリックします。①[同意する]をクリックし、さらにポップアップ画面の②[同意する]をクリック。
先ほど作成した空のディスクドライブが表示されるでしょう。①ドライブを選択し、②[続ける]をクリックします。
インストールが開始されます。PCのスペックによりますが、ここから次の画面が出るまで、30分以上かかる場合があります。
「日本」を選択して[続ける]をクリックします。
ここからはお好みに応じた設定やカスタマイズが選べます。ご参考までに私の選択結果をお伝えします。
[続ける]をクリック。 [今はしない]をクリック。 [続ける]をクリック。 [今はしない]をクリック。私は[あとで設定]をクリックしました。
[スキップ]をクリック。 [同意する]をクリック。さらに[同意する]。
フルネーム、アカウント名、パスワードを入力して[続ける]。
[このMacで位置情報サービスを有効にする]にチェックして[続ける]をクリック。
[続ける]をクリック。好みの設定にして[続ける]をクリック。
[あとで設定]をクリック。「”Siriに頼む”を有効にする」のチェックをはずして無効にし、[続ける]。
外観モードを選択して[続ける]。
いよいよ最後の設定です。
ここでキーボードの設定を行います。
[続ける]をクリックし、画面に従って操作ください。
ようやく設定が完了し、めでたくmacOS 12 Montereyが使えるようになりました。
おわりに
VirtualBoxによる、MacOSの仮想化のご紹介でした。これまで、VMwareによるMacOS仮想化の記事も紹介してきましたが、VirtualBoxにはスナップショットなど、VirtualBoxならではの便利な機能があるため、VirtualBoxのファンの方も多くいると思います。
そのようなみなさまもぜひ、良きMacライフを楽しんでいただければと思います。
ご参考まで
VirtualBoxの上でmacOS Monterey を試してみたい方は以下の記事を参考にしてみてください。