はじめに
私はこれまで主に、VMware上にmacOSをインストールして、様々な検証をしたり、記事を書いたりしてきた。VirtualBoxではなく、VMwareを選択してきたのには、なんとなくだが理由がある。VirtualBoxと比較してVMwareの仮想環境の操作性がよく感じられるからだ。マウスカーソルを移動したり、何かを選択したり、ウィンドウを移動したりといった、ちょっとした作業が比較的ストレスなくできるのがVMwareの方なのである。
この主観的、定性的な感覚をベンチマークによって多少定量的な数値に置き換えてみようというのが、本稿のテーマである。
ベンチマーク計測の前提条件
計測は同一のホストマシンで行った。仮想マシンはVirtualBox、VMwareそれぞれ同一のリソース(CPUなど)を割り当てた。
詳細は「データ」の章を参照のこと。
検証したシステムのレイアー構造は次の通り。
Cinebench R23 |
macOS 11 Big Sur |
VirtualBox 6.1.20 / VMware Workstation 16 Player 16.1.0 |
Windows 10 Home ビルド:19042.928 |
Inter Corei7-7700K CPU/メモリ32GB/SSD |
Cinebenchの計測結果
結論
結果、Cinebenchによるベンチマークのスコアは、VMwareが1.63倍ほど上回り、「速い」ということがわかった。
仮想マシン | Cinebenchのスコア 単位:pts(高いほど速い) |
Oracle VM VirtualBox | 2625 |
VMware Workstation 16 Player | 4285 |
上記のデータにホストPCのスコアを加えて、グラフで比較できるようにした。
VirtualBoxのスコアはVMwareの61.3%程度である。4割弱遅いといえる。
次にホストPCとの比較をしてみる。ホストPCは論理CPU数が8であり、仮想マシンは4なので、仮想マシンが遅いことは当然だが、VMwareのスコアはホストPCの70.2%に達している。それに対し、VirtualBoxのスコアはホストPCの43.0%に留まっている。通常のPC環境を使用するにあたって、上記の性能差は体感レベルの差異として現れると思われる。
今回はCinebenchのみで測定したが、他のベンチマークでは異なる結果となる可能性があるので、本当は様々なベンチマークを行って総合的に評価する必要がある。一概にVirtualBoxが遅いと決めつけるのは早計かもしれない。
あくまでも参考値としてとらえていただきたい。
データ
ホストマシンのスペック
まず、計測したPCのスペックなどを表示するため、ホストマシン(Windows10)で計測を行った。その結果を次の図に示す。
VirtualBoxの測定結果
VMwareの測定結果
計測条件の補足
- 割当てたCPU:4(論理CPU)
- 割当てたメモリ:8GB
- ストレージ:SSD(ただし割当てた容量は異なる)