ITストラテジスト:2015年 午後Ⅰ 問1

グローバルな環境での業務遂行体制の確立

IPAの平成27年度 秋季試験 午後Ⅰ問題リンク

設問残念な解答備考
設問1(1)抵抗感の少ないシステム開発費用の負担額とすること
(2)ハードウェア面真に必要なサーバ台数に絞込み、運用負荷を低減する
要員面要員個々が保有しているノウハウを形式知化し、継承可とする
設問2(1)個別工事の原価情報を正確に収集し、期末の原価予想の信頼性を高くするため
(2)識別コード体系を本社と各海外子会社で統一する
設問3(1)JVの社員にA社の識別コードを与えず、適切な権限を与える
(2)業務遂行時に本社の情報を適切に参照できる機能
設問解答備考
設問1(1)海外子会社のコスト負担を軽減すること
(2)ハードウェア面サーバの用途や利用状況を見直し、サーバ台数を削減する。
要員面運用の負荷を軽減しサポート可能な要員の割合を増やす。
設問2(1)個別工事の管理情報を正確に収集し、期末原価予想を正確に行うこと
(2)識別コード体系を見直しグループ全体で一元化する。
設問3(1)資格,権限,役割ごとに情報へのアクセス権限を明確にする。
(2)海外子会社から本社の情報を参照できる機能

解答の検討

設問1(1)

まず、設問が「海外子会社の状況を踏まえ、考慮すべきこと」とあるので、問題文で該当箇所を探す。[海外子会社の課題]に「情報システムなどの管理業務にかけられる予算が少ない。」と記述されている。また、[本社システム部の課題]に「海外子会社の状況から、システム開発費用の負担を迫ると、導入の抵抗勢力になったり、導入自体を拒否されたりする恐れがある。」とある。 海外子会社は情報システムなどの管理業務に掛けられる予算は少ないという状況において、 抵抗勢力にならないために考慮すべきこと 、アクションプランが円滑に受け入れられるようにするために考慮しておくこととは、何か。
「 海外子会社のコスト負担を軽減すること 」が正解。

設問1(2)

[本社システム部の課題]に「個別システムのための開発・検証用サーバが見直されることなく運用されているので、数百台規模のサーバ群となっており」とあり、「個々のサーバについて用途や利用状況を見直し、運用負荷を低減するための対策が必要」と記述されている。そのため、ハードウェア面の正解は「 サーバの用途や利用状況を見直し,サーバ台数を削減す る。 」である。
要員面は、「要員の補充は難しく」とあるので、要員を増やす以外の方策を考える必要がある。そのためには、ハードウエア面等から「 運用の負荷を軽減し」、海外子会社の「サポート可能な要員の割合を増やす」が正解となる。

設問2(1)

[業務上の課題]の3に「個別工事の管理資料が必ずしも正確に集約されているわけではなく、結果として、期末に原価予想がずれることがあった。」とある。「この問題を解消するために、個別工事の進捗やコストの管理情報が会計報告資料に直接結びつくよう、工事管理情報を正確に集約する仕組みが必要」と書かれている。
「 個別工事の管理情報を正確に集約し,期末原価予想を正確に行うこと 」が正解。

設問2(2)

[海外子会社の課題]の3に、「一人で複数の識別コードを持つことになり、グループ全体の要員を把握する上で障害となっている」とある。さらに、[全体システム化計画]の表2には、「要員を一元管理し、資格、権限、役割、情報へのアクセス権限などの基礎情報を管理する」と記述されている。一元管理のためには識別コード体系を見直す必要がある。
「 識別コード体系を見直しグループ全体で一元化する。 」が正解。

設問3(1)

[業務上の課題]の4に「JVの社員にもA社の識別コードを設定している。その結果、…情報セキュリティの観点からの見直しが求められている」と記述されている。 [全体システム化計画]の表2の、「要員を一元管理し、資格、権限、役割、情報へのアクセス権限などの基礎情報を管理する」 の記述を踏まえ解答を考える。IPAの解答から、JVの社員に限らない解答が求められるようである。
「 資格,権限,役割ごとに情報へのアクセス権限を明確にする。 」が正解。

設問3(2)

[海外子会社の課題]の2に、「業務遂行時に本社の情報を参照できないので、業務が非効率になっていたり、業務手順が本社の業務規程から外れていたりするなどの問題点を解消してほしいとの要求が本社に寄せられている」とあるので、「 海外子会社から本社の情報を参照できる機能 」が正解。このような簡単な問題が最後に配置されていたりするので、時間配分は重要。