【わかる!】Windows上でMacOS 11 Big Surを動かしてみるには

はじめに

仮想環境のMacが欲しいと思うときってどんな時でしょうか。

  • 実験的なことをやってみたいが、失敗するとMac環境を壊してしまう
  • 多様なソフトを影響を考えずにインストールしてみたい
  • もし失敗したときに、かんたんに失敗前の状態に戻したい
  • macOSを使っているところをみんなに見せたい

動機はさまざまですが、そのような場合、Windows上にVMwareでMac環境を構築してしまうのも選択肢の一つといえます。
仮想環境なのでホストマシンのスペックが高くても、実マシンと同じというわけにはいきません。GPUを使用するAIの実行や動画編集には向かないでしょう。しかし、活用できるシーンは多くあると思います。
仮想イメージファイルをバックアップしておけば、時間を巻き戻せるのも魅力です。

ぜひ、本稿を参考にしてMacにチャレンジしてみてください。

【あくまで参考】PCに必要なスペックとは

  • CPU①:インテルかAMD
  • CPU②:論理コア数4以上(仮想マシンに2コア必要)
  • メモリ:8GB以上(仮想マシンに4GB必要)
  • ストレージ:空き容量が60GB以上、推奨サイズは80GB以上

これもご参考まで

動画での紹介もあります。よければどうぞ。

仮想化の準備をしよう

Big SurのISOイメージを手に入れよう

お持ちのMacからダウンロードしてください。ダウンロードした際はISO形式に変換する必要がありますが、本稿ではその手順の説明を省略します。
以前のバージョンであるBig SurをMacOSでダウンロードする方法は、こちらのURLをご参照ください。

PCのBIOSから仮想化の設定をしよう

お使いのPCのBIOS等から「仮想化」を有効化してください。 具体的な設定方法はPCによって異なるため、メーカの説明書やWebの情報を参照ください。

VMwareをすでにお使いの方への注意事項

VMWareをすでにお使いの方は、必ずバックアップを取ってから試すことをお勧めします。

VMwareをインストールしよう

VMware(R) Workstation 16 Playerのバージョン16をインストールします。本稿の執筆時点でのバージョンは16.1.1です。

ここでは、VMware(R) Workstation 16 Playerのインストール手順の説明を省略し、インストール後を前提として説明します。

ただし、まだ起動はしないでください。

パッチツールを実行しよう

パッチツール(Unlocker)とは、VMware PlayerがMac OSの仮想マシンを実行できるようにするツールです。
ここからダウンロードしてください。
ダウンロードしたファイルを解凍します。解凍されたファイルのうち、「win-install.cmd」ファイルと「gettools.exe」ファイルを実行します。

「win-install.cmd」 を右クリックして、[管理者として実行]を選択します。
同様に、 「gettools.exe」ファイルも [管理者として実行]を選択して実行します

新しい仮想マシンの器を作ろう

VMware Workstation 16 Playerを起動し、以下の流れを実行します。

[新規仮想マシンの作成]をクリックします。

①[インストーラディスクイメージファイル]を選択し、②[参照]ボタンをクリックします。続いて表示される画面で、あらかじめ用意しておいたmacOS Big SurのISOイメージファイルを指定します。
「このディスクイメージのOSの種類を検出できませんでした。」と表示されますが、ここでは気にせず、先に進みます。

①[Apple Mac OS Ⅹ]を選択し、②「macOS 11.1」をクリックします。

「macOS 11.1」が選択されたところで、[次へ]をクリックします。

「仮想マシン名」は任意の名前が付けられます。
ここでは「Big Sur」としました。

ここでは仮想マシン名を「macOS 11.0」としました。
[ディスク最大サイズ]を入力します。80GB以上で、PCのディスク(SSD)空き領域に応じたサイズとします。ここでは160GBとしました。
次に、[仮想ディスクを単一ファイルとして格納]をクリックします。

ここで[ハードウェアをカスタマイズ]をクリックし、「ハードウェア」画面を表示します。

左側の「メモリ」をクリックし、ホストマシンのリソースに応じたメモリサイズを指定します。4GB以上を指定する必要があります。私は8GBとしました。

CPUは可能であれば、ホストマシンの論理CPU数の2分の1程度を割り当てるとよいでしょう。

USBコントローラでは、USB2.0を指定しておかないと、キーボードやマウスの入力ができなくなることがあるようでした

最後に[閉じる]をクリックします。

「新しい仮想マシンウィザード」画面に移って[完了]をクリックして画面を閉じます。

VMwareに仮想マシン「Big Sur」のスタートボタンが表示されますが、まだ起動しないでください。

ここで一旦、終了します。まだMacOSを起動しないでください。

VMXファイルを編集しよう

テキストエディタ(notepadなど)で
「Documents\Virtual Machines\Big Sur」にある、
VMXファイル、「Big Sur.vmx」を編集します。

なお、上記「Big Sur」の部分は、あなたが命名した「仮想マシン名」です。「Big Sur」以外の名称にした場合は、仮想マシン名に置き換えてください。

開いた「Big Sur.vmx」の最終行に、以下の行を追加します。

keyboard.vusb.enable = "TRUE"
keyboard.vusb.idVendor = "0x0000"
keyboard.vusb.idProduct = "0x0000"
notepadで上記3行を追加

インテル系のCPUはここまでの作業でOKです。もし、AMD系のCPUの場合、次の項目の作業も必要です。

AMD系のCPUの場合

上記に加えてVMXファイルに以下のコードを追加ください。

board-id = "Mac-551B86E5744E2388"
cpuid.0.eax = "0000:0000:0000:0000:0000:0000:0000:1011"
cpuid.0.ebx = "0111:0101:0110:1110:0110:0101:0100:0111"
cpuid.0.ecx = "0110:1100:0110:0101:0111:0100:0110:1110"
cpuid.0.edx = "0100:1001:0110:0101:0110:1110:0110:1001"
cpuid.1.eax = "0000:0000:0000:0001:0000:0110:0111:0001"
cpuid.1.ebx = "0000:0010:0000:0001:0000:1000:0000:0000"
cpuid.1.ecx = "1000:0010:1001:1000:0010:0010:0000:0011"
cpuid.1.edx = "0000:0111:1000:1011:1111:1011:1111:1111"

編集した行の意味

キーボードの設定を有効化し、JISキーボードを使えるようにします。USキーボードを使用する場合は不要と思われます。
keyboard.vusb.enable = “TRUE”
keyboard.vusb.idVendor = “0x0000”
keyboard.vusb.idProduct = “0x0000”

その他覚書

ビデオメモリの容量変更
以下の数値を調整する。
svga.vramSize = 134217728

以前に必要だった設定(これも覚書)

VMwareでmacOSを実行可能とする以下の設定は、現在無くても動作するようです。
smc.version = “0”

Big Surをインストールしよう

MacOSのインストールと設定

ここで再度、VMware Workstation 16 Playerを起動し、Big Surのインストールと設定を行います。

ドキドキする瞬間です。アップルマークが表示されました。

「日本語」を選択します。

この作業はわかりにくいところかもしれません。
おおまかに次の作業を行います。

  1. ディスクユーティリティで空のインストールメディアを作成、
  2. OSをインストール

まず、[ディスクユーティリティ」を選択して[続ける]をクリックします

空のドライブを作成するため、以下の手順を行います。

  1. [VMware Virtual SATA Hard Drive Media]を選択
  2. [消去]をクリック

ここがわかりにくいところですが、これからドライブを「消去」し、新しい空のドライブを作成します。新しいドライブ名を指定します。
私は「appledisk」としました。名称は任意で決められます。デフォルトの「名称未設定」のままでもかまいません。
名前を入力したら、[消去]をクリックします。

新しいドライブの作成が完了したので、[完了]をクリック。

最上部の[ディスクユーティリティ]メニューから[ディスクユーティリティを終了]。

[macOS Big Surインストール]を選択し、[続ける]をクリック。

[続ける]をクリックします。

①[同意する]をクリックし、さらにポップアップ画面の②[同意する]をクリック。

先ほど作成した空のディスクドライブが表示されるでしょう。①ドライブを選択し、②[続ける]をクリックします。

インストールが開始されます。

「日本」を選択して[続ける]をクリックします。

ここからはお好みに応じた設定やカスタマイズが選べます。ご参考までに私の選択結果をお伝えします。

[続ける]をクリック。

[今はしない]をクリック。

[続ける]をクリック。

[今はしない]をクリック。

私は[あとで設定]をクリックしました。

[スキップ]をクリック。

[同意する]をクリック。

さらに[同意する]。

フルネーム、アカウント名、パスワードを入力して[続ける]。

[続ける]をクリック。

[続ける]をクリック。

[あとで設定]をクリック。

「”Siriに頼む”を有効にする」のチェックをはずして無効にし、[続ける]。

外観モードを選択して[続ける]。

設定を反映中?

いよいよ最後の設定です。
JISキーボードを使用している場合を想定し、VMXファイルにJISキーボードを認識させるコードを追加しました。ここでキーボードの設定を行います。
[続ける]をクリックし、画面に従って操作ください。

ようやく設定が完了し、めでたくmacOS 11 Big Surが使えるようになりました。

ここまででもBig Surは使用できますが、フルスクリーンモードで使えたほうが便利です。次にその方法を紹介します。

フルスクリーンで使えるようにしよう

VMware Toolsのインストール方法とは

VMware Tools は、仮想マシンのゲスト オペレーティング システム(ここではmacOS)に様々な便利な機能を提供し、またパフォーマンスを強化するとされている、ユーティリティ一(ツール)の集まりです。たとえば、仮想マシンをフルスクリーン表示したい場合などに必須のツールとなります。

以下ではVMware Toolsのインストール手順を、図を中心に説明します。

VMware Toolsのインストールには仮想マシンのCD/DVDをマウントするため、現在マウントされているメディアを取り出します。

最上部のメニューバーから[Player]>[管理]>[仮想マシン設定]をクリック。

[ハードウェア]タブの左側[CD/DVD(SATA)]を選択。
[ISOイメージファイルを使用する]にチェックが入っていることを確認して[参照]をクリック。

「ISOイメージ参照」画面が表示されます。ここでVMware ToolsのISOイメージファイルを指定します。
Big Surインストールの前段階で、パッチツール(Unlocker)をダウンロードして解凍しています。そのフォルダに移動し、以下の場所に移動します。
unlocker-v302\unlocker-v302-ichitaso\tools
そして、”darwin.iso”を選択し、[開く]をクリックします。

「仮想マシンの設定」画面に戻り、[ハードウェア]タブの左側にある[CD/DVD(SATA)]をクリックします。
続いて右上の「デバイスのステータス」にある[接続済み]のチェックボックスをONにします。
最後に[OK]をクリックします。

上記の作業が成功すると、「VMware Tools」のデスクトップアイコンと画面が表示されます。もし、下の図のように画面が起動されない場合は、デスクトップアイコンをダブルクリックしてみてください。
画面の[VMware Toolsのインストール]をダブルクリックし、インストールを開始します。

[続ける]をクリック。

[インストール]をクリック。

セキュリティの画面が表示されます。パスワードを入力して[ソフトウェアをインストール]をクリック。

実行中の画面が表示されます。

同じ「機能拡張がブロックされました」画面が二つ表示されるでしょう。どちらからでも良いので、VMware Toolsの機能拡張を有効にするため、[”セキュリティ”環境設定を開く]をクリックします。

画面左下のカギマークをクリックします。

パスワードを入力し、[ロックを解除]をクリックします。

下の画面の[許可]をクリックし、VMware Toolsの実行を可能にします。

途中で以下の画面が出たら、[あとで行う]をクリックします。

「セキュリティとプライバシー」の画面を終了します。

二つ同じ「機能拡張がブロックされました」画面が表示されていましたが、もう片方も、念のため上記同様の操作をしておきます。

下の画面が表示されたら、VMware Toolsのインストールは完了です。[再起動]をクリックします。

しばらく待ちます。

立ち上がったら、フルスクリーンモードにしてみます。下図の「フルスクリーンモードを開始」ボタンをクリックします。

フルスクリーンモードで使用できるようになりました。

ログインしてみましょう。
VMware Toolsはもう使用しないので、デスクトップから削除します。

これで作業はすべて完了しました。
お疲れさまでした。

おわりに

仮想環境のMacは、実マシンではあまりやりたくない、経験にない実験や検証などの作業に大活躍しています。しかし本稿執筆時に使用したPCは、HDDにWindowsとmacOSをインストールしてしまっているせいか、グラフィカルな操作は少々もたつきます。ちなみにPC
のスペックは次の通りです。

  • CPU:Intel(R) Core(TM) i7-7700K CPU @ 4.20GHz 4.20 GHz
  • メモリ:32.0 GB (31.7 GB 使用可能)
  • ストレージ:HDD Seagate 300GB(化石のような遅いHDDです)

一方では経験上ですが、ホストOSであるWindowsのストレージをSSDにするだけで、かなり改善しました。
やはりおすすめは、WindowsもmacOSも、まるごとSSDにインストールする方法です。上記スペックのPCで、まるごとSSD環境での簡単な動画のカット編集(Avidemuxを使用)を試してみましたが、スムーズにできました。

みなさまもぜひ、良きMacライフをお楽しみください!