ついにリリースされた deepin Linux 23の新しさとは

deepin 23は2024年8月15日にリリースされました。このバージョンには多くの新機能と改善が含まれています。以下に具体的な特徴を詳しく紹介します。

特徴と新しいところ

deepin 23は、特にその美しいデザインとユーザーフレンドリーなインターフェースが評価されています。

ビジュアルとデスクトップ環境

  • Deepin Desktop Environment (DDE):
    • 新しいタスクバー、ランチャー、豊富なパーソナライズテーマが特徴です。
    • タスクバーは画面下部に配置され、低解像度の画面でも効果的に使用できます。
    • 総じてWindows 11に似すぎているともいえそうです。

ビジュアル以外の進化した技術とは

  1. 新しいリポジトリ
    • deepin 23では、システムリポジトリが全面的にアップグレードされ、安定性とセキュリティが強化されました。
    • ARM64、RISC-V、LoongArch64などの新しいアーキテクチャへのサポートが追加されました。
  2. アトミックアップデート
    • アトミックアップデート機能が導入され、システムのアップデートが失敗した場合でも、前のバージョンにロールバックできるようになりました。
    • ディスクスペースの使用を最小限に抑える新しいインストール/アップグレードメカニズムが採用されています。

他の人気Linuxディストロと比較すると?

  1. Ubuntu:
    • Ubuntuは、最も広く使用されているディストリビューションの一つで、豊富なコミュニティサポートとドキュメントが特徴です。
    • deepinと比較すると、Ubuntuはより多くのソフトウェアリポジトリとパッケージが利用可能です。
  2. Fedora:
    • Fedoraは、最新の技術とソフトウェアをいち早く取り入れることで知られています。開発者や技術愛好者に人気があります。
    • deepinと比較すると、Fedoraはより技術的なユーザー向けの機能が豊富です。
  3. Arch Linux:
    • Arch Linuxは、カスタマイズ性とシンプルさを重視するユーザーに人気があります。ローリングリリースモデルを採用しており、常に最新のソフトウェアを提供します。
    • deepinと比較すると、Arch Linuxはインストールと設定が難しく、初心者には向いていません。

推奨されるシステム要件とは

  1. プロセッサ: 2.0GHz以上のマルチコアプロセッサ
  2. メモリ: 8GB以上の物理メモリ
  3. ハードディスク: 64GB以上の空きディスク容量(SSDへのインストールが推奨されます)
  4. ディスプレイ: 1920×1080以上の画面解像度

こちらのリンクの記載を転載しました。

deepin 23をインストールするには

ダウンロードとインストールの準備をしよう

こちらのリンクからdeepin公式ページに移ります。

ここでは「Google Drive」からダウンロードしてみます。

  1. deepinのISO形式ファイルが表示された行を確認します
  2. ケバブメニュー(3つの点が縦に並ぶメニューアイコン)をクリックします
  3. [ダウンロード]をクリックします

ダウンロード完了後のインストールは、仮想マシンにインストールする場合と、物理PCにインストールするケースに分かれます。

物理PCにインストールには

Rufusなどを使用してUSBメモリにイメージを書き込みます。

上はRufusで書き込みを行う場合の画面例です。

  1. 右の[選択]でISOファイルを指定するとファイル名が表示されます。
  2. クリックしてISOファイルを選択します。
  3. 書き込みを始めます。

筆者は上のモードで書き込みました。

上はUSBの内容が消去されることを最終確認する画面です。
[OK]を押すと書き込みの進捗が表示され、完了を待つだけです。
書き込みが完了したUSBメモリをPCに挿入し、USBから起動するとインストーラが起動されます。

仮想マシンにインストールするには

VirtualBoxにインストールする際の筆者の設定例は次の通りです。

タイプを「Linux」、バージョンを「Other Linux(64-bit)」とします。

メモリを8GB以上、CPUを2以上にします。

HDDの容量を64GB以上にします。ここでは80GB としました。

設定内容のサマリを表示したところです。

インストールの手順とは

筆者は上の画面からkernel 6.9を選択しました。[Enter]でインストールが始まります。

デフォルトが中国語なので、[日本語]を選択します。するとボタンの表示も日本語に代わります。[次へ]を押します。

推奨の[Full Disk]を選択します。日本語化が中途半端ですね。

  1. インストールするディスクをクリックして選択します。インストールが始まるとディスクの中身は消えてしまいます。
  2. [次へ]を押します。

これから作成されるディスクの構成が表示されます。
[インストールを開始]を押します。

インストールが始まり、下に進捗が表示されます。

deepin 23は、システムに必要最低限のアプリケーションのみをデフォルトでインストールします。これにより、不要なソフトウェアが少なく、ディスク容量を節約できます。
筆者はインストール時間が短いと実感しました。おそらく、上記が関係していると思われます。

物理PCへのインストールの場合は、USBメモリを取り外します。

仮想マシンの場合はVirtualBoxのメニューから[デバイス]>[光学ドライブ]>[仮想ドライブからディスクを除去]を選択します。

[今すぐ再起動]を押します。

ユーザー名、コンピュータ名、パスワードを入力します。
[次へ]をクリック。

しばらく待ちます。

上の画面が表示されれば、インストールは成功です。

ログインしてみよう

パスワードを入力してログインします。

デスクトップ画面が表示され、正面にプレイヤーの再生ボタンが表示されます。再生してみましょう。
右下の[次へ]をクリックします。

デスクトップモード、実行モード、アイコンモードをお好みに設定し、最後に[完了]を押します。

日本語入力をできるようにするには

このままでは日本語入力ができません。日本語入力ができるようにするには、ターミナルを起動してコマンドを入力する必要があります。

スタートメニューから[Terminal]アイコンを押して、ターミナルを起動します。

[Ctrl]+[Alt]+[T](同時に押す)と入力してもターミナルを起動できます。

ターミナルが起動され、コマンド入力を促すプロンプトが表示されている箇所に以下のコマンドを入力し、[Enter]を押します。

sudo apt update
sudo apt install -y zenity uim-anthy
im-config

im-configを起動すると、画面が表示されます。

[OK]を押します。

[はい]をクリックします。言語が統一されず、チャンポンになっていますね。日本語が変だし。

「uim」を有効にします。[OK]を押します。uim(Universal Input Method)は、多言語対応の入力メソッドフレームワークです。他の入力メソッドフレームワーク(例えばIBusやFcitx)と比較しても高い柔軟性とカスタマイズ性を持っています。

[OK]を押します。
ターミナルにプロンプトが表示されていれば、日本語設定は完了です。
いったんここでログアウトします。

①スタートメニューを表示し、②電源アイコンを押します。

ログアウトして、再度ログインします。

再ログイン後、画面の右下に注目すると日本語ツールバーが確認できます。そこで、ブラウザかテキストエディタを起動して日本語を入力してみましょう。[半角/全角]キーで日本語入力モードに切り替えます。日本語入力ができることはできました。ただし、筆者のVirtualBox環境ではモードの切り替えが不安定でした。モードを切り替えようとすると、ツールバーの[あ]が激しく点滅して、英語/日本語の切り替えがうまく行えないことがありました。

VirtualBox:Guest Additionsを入れてコピペを有効にするには

VirtualBoxではGuest Additionsをインストールすると、仮想マシンの操作性やパフォーマンスが大幅に向上します。具体的には、ホストOSとゲストOS間でコピー&ペーストやフォルダーの共有ができます。また、ゲストOSのウィンドウサイズを変更すると、自動的に解像度が調整されるようになります。そのほかにも様々な機能が提供されます。

VirualBoxでdeepinを実行中に、メニューバーの[デバイス]>[Guest Additions CDイメージの挿入]を選択し、Guest Additionsのイメージをマウントします。

スタートメニューからファイルマネージャを起動します。ファイルマネージャの左ペインの「VBox_GAs_<バージョン名>」という名称でマウントされたGuest Additionsをクリックします。右ペインのファイルアイコン以外の空白部分を右クリックし、表示されたメニューから[ターミナルで開く]を選択します。
ターミナルから、下のコマンドを実行します。パスワードを聞かれたら入力します。

sudo ./VBoxLinuxAdditions.run

コマンド実行後にdeepinを再起動します。再起動後、ホストOSとゲストOS間でコピー&ペーストができるようになっていることを確認しましょう。

おわりに

Deepin 23の正式版には多くの新機能と改善が含まれています。一方でWindows 11との類似点も多く、中華らしさが随所に現れているといえます。いずれにせよ、興味深いディストロだと思います。皆さんはいかがでしょうか?