Batocera アルティメットなエミュレータ統合OS

Batoceraは、レトロゲーム愛好家にとって魅力的なオペレーティングシステムです。本記事ではBatoceraのインストール方法を紹介します。

Batoceraとは

  • Batoceraは、レトロゲーム専用に作られたLinuxベースのオペレーティングシステムです。
  • デスクトップコンピュータ、ノートPC、およびRaspberry PiやOdroidなど、様々なコンピューターで使用できます。最近話題の中華ゲーム機のOSにも採用されています。
  • Batoceraは無料で入手できます。

Batoceraで得られるメリットとは

  • 50以上のゲーム機(のエミュレータ)が、まるごと入りなので、いちいちゲーム機ごとにエミュレータをインストールする必要がありません。
  • ゲームコントローラなどはプラグアンドプレイで、セットアップは不要で使用できるとされています。
  • Batoceraは、PCにインストールする方法と、USBメモリに保存されたイメージから起動する方法が選択可能です。

インストールの大まかな流れ

本稿ではPCの内蔵ドライブにBatoceraをインストールする方法を紹介します。

Batoceraのイメージファイルをダウンロードして、USBに書き込みます。これでライブUSBを兼ねたインストーラの作成が完了です。
次にUSBからBatoceraを起動し、PCへのインストールを行います。
最後にゲームが起動できることを確認します。

BatoceraのイメージをUSBに書込もう

Batoceraをダウンロードしよう

こちらのリンクをクリックして、Batoceraの公式ページに移動します。「Desktop PC, Laptop…」をクリックして、PC版をダウンロードします。
本稿執筆時点でのダウンロードしたファイル名は以下の通りです。

batocera-x86_64-x86_64-38-20231014.img.gz

本記事の以降の記述にもこのファイル名が出てきますが、ファイル名は頻繁に変更されます。適宜読み替えてください。

USBにイメージを書込もう

ダウンロードしたBatoceraのイメージファイルを、balena EtcherというツールでUSBメモリに書込みます。
USBメモリは16GB以上のものを使用してください。
balena Etcherを起動します。

[Flash from file]を選択し、ダウンロードしたファイルを指定します。ここで、ダウンロードしたファイルは圧縮されていますが、解凍する必要はありません。balena Etcherの中で自動的に行われます。

[Select target]をクリックします。

イメージを書込むデバイスを指定します。PCに挿入したUSBメモリを選択します。[Select 1]をクリック。なお、「Select」の次の数字は環境により変わります。

[Flash!]をクリック。

イメージの書き込みが完了するのを待ちます。

上の画面が表示されたら書き込みは完了です。
[終了]ボタンがないので、右上の[x]をクリックします。

筆者の環境では8GBのUSBメモリで書き込みを行うと、上記ようにエラーになりました。16GBのUSBメモリに変更すると成功しました。ご注意ください。

USBからBatoceraを起動してみよう

USBメモリをPCに差して、USBからブートします。USBからブートするためには、BIOSからデバイスの「ブート優先順位」を変更する必要がある場合があります。ブート優先順位を変更する方法は、お持ちのPCのBIOS仕様によって手順が異なりますが、およそ次のような手順になるでしょう。

  1. PCを再起動してください。
  2. 起動時に表示される画面で、BIOSセットアップユーティリティにアクセスします。通常、F2、F10、またはDeleteキーを押すことでアクセスできます。PCのメーカーやモデルによって異なりますので、PCのマニュアルを参照してください。
  3. BIOSセットアップ画面で「ブート」または「起動」セクションに移動します。
  4. ブートデバイスの優先順位を変更します。USBメモリを最優先に設定するために、USBデバイスを一番上に移動してください。
  5. 設定を保存して再起動します。

USBメモリからの起動が成功すると、上の画面が表示されます。
同時に、騒音レベルのBGMが流れ始めるので、止める方法を次で説明します。

インストールの準備をしよう

インストールを行う前に、次の準備作業を行う必要があります。

  1. ゲームパッドを接続する
  2. 音楽を止める
  3. LAN(Wi-Fi)に接続する

コントローラを接続しよう

まず、ゲームパッド(コントローラ)を接続します。以下のコントローラを試しましたが、いずれもプラグアンドプレイで使えるようになりました。

  • Logicool F310
  • PS5標準DualSense ワイヤレスコントローラー (CFI-ZCT1J)
  • ニンテンドースイッチ互換(YesOjO製)

音楽を止めるには

通常、サウンドボリュームが最大になっているので、音楽を一旦停止しておきます。

上のメインメニューを表示するには、コントローラの[Start]を押します。
以下の操作は、十字キーやABボタンで行います。直感的に操作できると思います。
[SOUND SETTINGS]を選択します。

[FRONTEND MUSIC]のトグルスイッチをOFFにします。
[BACK]を押します。この時点で、音楽が止まります。

LAN(Wi-Fi)に接続しよう

PCへのインストールはLANへの接続が必要です。ダウンロードを伴うインストールが行われるためです。
有線LANを接続済みの場合は特に何もする必要はありません。
Wi-Fiに接続するには、メインメニューから次の操作を行います。

[NETWORK SETTINGS]を選択します。

上のネットワーク設定画面で、①HOSTNAMEが「BATOCERA」になっていることに注目します。このホスト名はゲームROMを配置する際に使用します。もし、ホスト名を変更した場合はその名前を控えておいてください。
②ENABLE WIFIをONにします。
③WIFI SSIDを選択し、次の画面でWi-FiルータのSSIDを選択します。
④WIFI KEYを選択し、次の画面でルータのパスワードを入力します。
最後に[BACK]を押すと「WIFI ENABLED」と表示されるので、[OK]を押します。
以上でネットワークの設定が完了です。

さあ!インストールをしよう

[SYSTEM SETTINGS]を選択します。

十字キーで下のほうにスクロールすると、[INSTALL ON A NEW DISK]があります。選択します。

①TARGET DEVICEで、PCに内蔵されているSSD/HDDデバイスを選択します。
②TARGET ARCHITECTUREで[X86_64]を選択します。
③ARE YOU SURE?で、インストールするデバイスを間違っていないか確認します。デバイスの名称と容量を確認します。正しければ、スイッチをONにします。
④[INSTALL]を押します。

ダウンロードが始まり、画面の中央に進捗状況が表示されます。

FINISHEDと表示されたら完了です。

メインメニューに戻って[QUIT]を選択します。

再起動するために、いったんシャットダウンします。リスタートしてもよいのですが、USBメモリを抜くタイミングを作るために、筆者はシャットダウンを選びました。

[YES]を押します。
シャットダウン後にUSBメモリを抜いて、PCを起動します。

USBメモリを抜いた状態で、SSD等内蔵ドライブからの起動が行われ、上の画面が表示されれば、ここまでは順調です。

設定しよう

内蔵ドライブから起動した状態で、以下の設定を再度行います。

  1. 音楽を止める
  2. LAN(Wi-Fi)に接続する

日本語化しよう

[SYSTEM SETTINGS]を選択します。

[LANGUAGE(REGION)]を選択します。

[JAPANESE]を選択します。

[BACK]でメイン画面に戻ります。

日本語に変更されました。

メイン音量を下げておこう

筆者の環境では、ゲームを開始した時の音量が大きすぎたので、あらかじめメイン音量を下げておきました。

[メインメニュー]>[音声設定]を選択。

[メイン音量]を調整します。筆者は50%前後にしておきました。

ゲームを起動してみよう

BatoceraにはAvahiと呼ばれる、コンピュータ名を使ってネットワーク共有できる仕組みが組み込まれています。そのため、Batoceraとは別のWindows PCから、Batoceraの所定の場所にゲームを配置することができます。
ネットワークが有効になっていれば、Batocera側では特に新たな設定を行う必要はありません。

ROMをBatoceraに配置しよう

事前に用意したゲームのROMを、Batoceraにアップロードします。本稿では、Windowsからアップロードする方法を紹介します。

エクスプローラの上図のアドレスバーから、以下を入力します。

\\batocera.local

すると、Batoceraの「share」というフォルダが共有できるようになります。
今回はファミコンのROMを格納します。
下の通りフォルダをたどっていきます。
share>roms>[ゲーム機略称]
[ゲーム機略称]のところは、一通りのゲーム機に対応したフォルダ群がそろっています。
ファミコンの場合、最終的に以下のフォルダに移動します。

\\batocera.local\share\roms\nes

ROMをアップロードするフォルダが表示されたところで、用意したROMをドラッグ&ドロップ等でコピーします。

ゲームリストを更新しよう

ゲームROMをアップロードした時点ではまだ、Batoceraでゲームの一覧に表示されません。ゲームリストを更新する必要があります。

Batoceraに接続されたゲームコントローラで、Startボタンを押してメインメニューを開き、[ゲーム(エミュレータ)設定]を選択します。

「ゲームリストを更新しますか?」と聞かれるので[はい]を選択します。
ゲームリストを更新したら、次に追加したゲームが表示されるかを確認します。

ファミコンは世界ではゲーム機略称がNES(Nintendo Entertainment System)なので、NESを選択します。

ゲームが新たに追加されました。ゲームのカバー画像は変更することができます。
追加したゲームを選択して、ゲームを起動します。

ゲームを始めることができました。

さいごに

本稿では軽いファミコンのゲームで、ゲームの起動までを検証しましたが、スペックの良いPCを使えば、重たいゲームを遊べてしまうのがBatoceraを使う醍醐味かもしれません。ぜひ皆さんも試してみてください。