中古microSDの削除済みデータを復元できるか?

やってはいけない データ復元クエスト その1

本稿では、中古で販売されている中身が空の記憶メディアを復元し、その来歴をどこまで突き止めることができるか、挑戦してみたいと思います。

今回のお宝は?

中古で入手したトランセンド製2GBのmicroSDカード(microSD)です。

エクスプローラでmicroSDの中を参照すると、ファイルは存在しません。
はたして削除済みのデータ復元は可能でしょうか?

データ復元の試行結果

復元を試みた結果、1,809ファイルが検知されました。
これらのファイルを調査して、このデータの元の持ち主のことがどこまでわかるでしょうか。

ここで注意です

本稿では、ショップで購入した中古の記録メディアの中身を復元することを推奨しておらず、同様のことを試みることは全くお勧めできません。メディアには過去危険なウイルスやマルウェアが入っていた可能性があり、それを復元してしまう可能性があるからです。元のオーナーが気付かないまま、ウイルスがひそかに潜伏している可能性もあります。

データをクエストしてみる

何に使用されたメディアなのか

復元されたファイルを一覧したものが、以下の表です。
ファイルのタイムスタンプ属性も復元される場合があります。今回のファイルは、2010年1月ごろから、2012年4月ごろまでに作成されたファイルでした。

#種類個数ファイル名など
13GP2すべて破損
2DOC4MS Wordのファイル
3PDF1
4JPG27811ファイルは破損
5VCF3
6VMG1498
7txt2
8MGR18
2,147
表1

3GPファイルとは

上記表1の1番め、”3GP”ファイルは、主に携帯電話やスマートフォンなどの携帯デバイスで使用される動画ファイルフォーマットです。これは、第3世代携帯通信システム(3G)のために開発されたファイルフォーマットで、短いビデオクリップや動画メッセージなどに使用されます。この時点でこのデータは、何らかの携帯端末等のデバイスのデータと推測できます。
破損しているので中身の動画ファイルは確認できませんでした。

DOCファイルから驚きの事実が明らかに

表1の2番め、DOCファイルは古いMicrosoft Office Wordの文書ファイルです。LibreOfficeなど、フリーのオフィスアプリでも中身を確認できます。
復元されたDOCファイルの4ファイル中、2ファイルがFAX送信状であり、発信元と送付先の情報が書かれていました。この情報から、データの持ち主の名前や職業、会社の名前、電話番号などが判明しました。また、残り2ファイル中の1ファイルは、ビジネス文書のひな型であり、もう一つはマラソンの記録に関するファイルでした。
PDFファイルには、ある企業の重要なファイルが含まれており、データ主の顧客の重要な文書であることがわかりました。

復元された画像ファイルには家族が

復元したJPGファイルには、プライベートな写真が含まれていました。若い夫婦と2人のお子さんの写真で、下のお子さんが生まれたばかりであることが推測されます。さらに、東日本大震災の新聞記事の写真が混じっており、印象的でした。

連絡先とメールも

VCFファイルには、顧客や友人、家族などの連絡先が記録されていることがわかりました。

一方、VMGファイルには、ガラケー時代のメールの本文が含まれており、家族とのやり取りが中心で、友人の相談事などにも親身に対応していることがわかりました。

クエストはここまでとします。

VMGファイルをメールクライアントで読むには

すこし横道に外れますが、古いケイタイでやり取りした、懐かしいメールはThunderbirdやOutlookなどで読めるようにできます。
ここでは簡単に、Thunderbirdで読める形式に変換する方法を紹介します。

VMGファイルをEML形式に変換するには

Tunderbirdで閲覧できるEML形式のファイルに変換するには、VMGtoEML2というアプリを使用します。なお、VMGtoEML2をインストールして実行するには、「Microsoft .NET Framework 3.5」が必要です。

VMGtoEML2の使用法とは

VMGtoEML2を起動し、①VMGファイル群が入っているフォルダを指定します。続いて、②変換後のEMLファイルを入れるフォルダを指定します。
最後に[実行]を押します。

しばらく待ちます。

以下の画面でEMLファイルへの変換が完了です。

Thunderbirdを起動します。
変換したメールを入れるローカルフォルダーを作成したほうがよいでしょう。下の図では、「ガラケーのメール」フォルダを作成しました。

エクスプローラでEMLファイルをすべて選択し、下のようにマウスでドラッグ&ドロップします。

これで、変換済みのメールがThunderbirdで読めるようになりました。

さいごに

記憶メディアからデータを削除したつもりでも、専用ツールを使用すれば高い確率で復元できるため、初期化するかメディアを破棄することが望ましいと言えます。

これまで3回にわたり、データ復元に関する記事を紹介してきましたが、今回が最終回となります。

本稿を執筆する中で、他人の家にこっそり侵入しているような後味の悪さが残りました。
この記事で使用したmicroSDカードは、ハサミで切断しました。これにより、データは完全に削除されました。

冒頭でも述べたように、出所が不明な記録メディアについては、安易にデータ復元を試すことはお勧めできません。ウイルス感染のリスクがあるためです。