Windows 7時代のPCをWindows 11によみがえらせてみる

はじめに

本稿では2011年ごろに販売され、Windows 7で動作していたPCをWindows 11マシンに生まれ変わらせてみる試みを紹介します。

今回用意したPCはHard offで\3,300で販売されていた「HP Compaq 6200 Pro SFF」です。ビジネス用途で利用されることの多いモデルでした。

注意

本稿の記載内容を試す場合は、自己責任でお願いします。

禁じられた10年前のPCにインストール

デスクトップPC「HP Compaq 6200 Pro SFF」は、2011年頃に発売されたWindows 7が動作するモデルです。筐体にはWindows 7 Professionalのプロダクトキーが記載されたラベルが貼られていました。通常、Windows 11を新規インストールし、ラベルに記載されたプロダクトキーを使用すれば、ライセンス認証ができます。

ケースの内部

ケースの蓋を開けると中に、32bit版Windows 7のリカバリ・ディスクが入っていました。

下の写真はカバーを開けたところです。写真ではHDDやメモリが見えていますが、中古で購入した時点ではどちらも取り外しされていました。

PCのスペック

PCのスペックは以下の通りです。

プロセッサIntel® Core™ i5-2500 CPU @ 3.30GHz
メモリDDR3 SDRAM(1333 MHz)
スロット数4
最大搭載メモリ容量 16 GB

Windows 11の要件

Windows 11のシステム最小要件と6200 proの適合状況が下の表です。

Windows11のシステム最小要件 6200 proの仕様
プロセッサ 1GHz以上で2コア以上の64BitプロセッサまたはSoC 。
Intel CPUは第8世代Core (Coffee Lake)以降(一部第7世代も可)。
×
第2世代Core
RAM 4GB
最大16GBまで増設可
ストレージ空き容量ストレージが64GB以上であること〇(SSDを新設)
グラフィックスカード DirectX 12以上(WDDM2.0ドライバー)?(不明)
Intel HDグラフィックス
システム ファームウェアUEFI・セキュアブート必須×
未対応
TPM バージョン2.0必要×
未対応

上記の通り、6200 proではWindows 11の必須要件を満たしていないので、このままではインストールできません。そこで、少し特殊な方法でインストールします。

メモリとSSDを取り付けてみる

まず、ハードウェア構成を整えます。
メモリは購入時ありませんでした。メモリスロットは4個です。スペックで上限の16GBに増設することは可能ですが、PC3-10600(DDR3-1333)が必要です。余ったDDR3のメモリを漁ってみます。2GBが2枚がありました。メモリは8GB以上にしたいと考えたので、試しにPC3-12800U (DDR3-1600)4GBが1枚を取り付けてみます。スペック上の上限は1333MHzなので、 DDR3-1600であっても1333MHzにスピードが落ちます。しかしその違いは体感できないと思います。
はたして、8GBを認識することができました。

ストレージは500GBのSSDを取り付けました。特に問題なく認識されました。

いよいよWindows 11をインストールしてみる

上記のスペックのPCには通常の手順でWindows 11をインストールすることができません。
要件に満たないPCにWindows 11をインストールしようとすると、システム要件がチェックされ、インストールが停止してしまいます。
そこで、上記の要件チェックを回避する手順を加えます。
具体的なWindows 11のインストール手順は、以下の記事で詳しく紹介しています。ご参照ください。

Windows 11が動いた!

上記記事の手順通りインストーラを作成し、新規インストールしてみました。

結果、core i5-2500のHP 6200 pro SFFでWindows 11は動作しました。

以下は、Microsoftから提供されている「PC 正常性チェック アプリ」をダウンロードして、Windows 11から実行した結果です。Windows 11が動作している環境であっても、アプリは冷徹に「システム要件を満たしていません」と通知します。

プロダクトキー入力なしでライセンス認証された!

驚いたのは、プロダクトキーによるライセンス認証をスキップしてインストールしたにもかかわらず、認証済みとなったことです。

マザーボードの情報やインターネットを経由して自動的にライセンス認証が実施されたようです。

ここで、「Windows Product Key View」というツールを使用して認証済みのプロダクトキーを表示してみると、いわゆる「ジェネリックキー」でした。ジェネリックキーとは、Windows 7や8.1からWindows 10にアップグレードしたときに割り振られる特殊なプロダクトキーです。ということは、このPCで過去、Windows 10 professionalにアップグレードされていたことになります。

気になったのはジェネリックキーがOEM版のそれではなく、KMSクライアントのものだったことです。
ラベルには「Windows 7 pro OA」と記載されているので、このライセンスはOEM版です。OEM版とKMS版は異なるジェネリックキーが割り当てられます。
今回、自動ライセンス認証された結果のキーがKMS版というのはどういうことでしょうか?
前のオーナーが行ったと考えられるのは以下です。あくまでも推測です。

  1. OEM版の「Windows 7 32bit版」で購入
  2. 別途、「Windows 7 64bit版」のライセンスを購入してインストール
  3. 「Windows 10」にアップグレード

上記のような場合で新規インストールするのであれば、Windows 7のライセンスが1本あれば、64bit版でも32bit版でもインストールできると思うので、ライセンスを購入しなくてもよいはずですが、何か事情があったのかもしれません。

ひとまず、調査はここまでとします。
謎は残りましたが、まずはライセンス認証されているので、この状態でPCを使用してみることとしました。

さいごに

6200 proのWindows 11で本稿を作成しました。特にストレスなく作成できました。
YouTube鑑賞やChromeでのブラウジングなどには全く問題ありません。

core i5-2500のPCでWindows 11が実質無料で動作していることを考えると、SSDとメモリを追加しているとはいえ、\3,300は安かったのではないでしょうか。Rakutenの中古市場で出回っている6200 pro(i5-2500)の価格をざっと見渡してみると、3万円台というところでした(2021年10月28日現在)。