プロジェクトマネージャ 2019年春季 午後Ⅰ

次世代型コンタクトセンタサービスへの移行プロジェクトを題材に、移行計画の立案、新機能導入時のリスクへの対応について答える問題。

IPAの平成31年度 春季試験 午後Ⅰ問題リンク

残念な私の解答

設問解答
設問1時間を要する作業であり、経営層の意向を確認するため
設問2(1)検証すること移行の作業手順と移行時間の見積もりの元となるデータ取得のため
設定した目的1回目の移行リハーサルで取得jした見積もりデータの確からしさを検証するため
(2)現在提供している応対のサービスレベルを維持できること
設問3(1)自動対応機能の不具合の影響が標準サービスの訓練環境に及ばないようにするため
(2)スケジュールに関する対応策準備作業の進捗状況を踏まえて導入時期を遅らせること
品質に関する対応策自動回答率の計測結果により目標値を見直すこと

IPAの解答例

設問解答
設問1リスクを特定し、今後の対応を計画するため
設問2(1)検証すること作業手順及び移行時間の見積りが適切であること
設定した目的 1 回目の移行リハーサルで検出された不備の修正結果を確認するため
(2) 全てのオペレータが担当業務の全てについて操作できること
設問3(1)検証作業が,オペレータの標準サービスの訓練に影響を与えないようにするため
(2)スケジュールに関する対応策自動対応機能の導入時期を遅らせる。
品質に関する対応策サービス開始時の自動回答率の目標値を見直す。

解答の検討

設問1

F課長は、M社プロジェクトの移行計画の作成に当たり、N氏にヒアリングした。「特に、自動対応機能のサービス開始時期を設定した背景やサービス開始時の自動回答率の目標値の決め方について詳しく確認」した。それはなぜか、と問う問題。N氏から得た回答には、経営層からの指示があるので、「経営層の意向を確認」と回答したくなる。しかし、「移行計画の作成に当たり」とあるので、計画に影響する何かを確認したかったのだろう。計画の阻害要因だろうか。すると、IPAの回答の「リスクを特定し,今後の対応を計画するため」が解答になる。出題者の意図がどこにあるのか、迷う問題。

設問2 (1)

「移行リハーサルを2回実施する」に当たって、過去のシステム移行時の状況を踏まえて、1回目の意向リハーサルで検証することを答える問題。[M社のプロジェクトの移行条件]の(1)に、「作業手順移行時間の見積りに不備があった」とある。これらの不備がなく、適切であることを検証しなければならない。「作業手順及び移行時間の見積が適切であること」が正解。
次に、以降リハーサルの2回目を設定した目的を解答する。M社における過去のシステム移行で、以降リハーサルを実施した際、「その後の修正確認と再見積りも不十分で、本番の移行作業が混乱した」と記述されている。そのため、2回目のリハーサルの目的は、1回目のリハーサル後の修正確認と再見積りを確実にすることと考えられる。「1 回目の移行リハーサルで検出された不備の修正結果を確認するため」が正解。

設問2 (2)

[M社のプロジェクトの移行条件への対応]の(2)に「すべてのオペレータの訓練を完了させるため」とある。ここで「M社専用」とか「終日利用可能」といったレベルの要件が回答スペックとして求められているわけではないことに注意したい。[M社のプロジェクトの移行条件]の(2)には、「現在提供している応対のサービスレベルを維持し…」とある。訓練が完了したときに、すべてのオペレータに求められる要件とは、オペレータの担当業務がすべて操作できること、となる。「全てのオペレータが担当業務の全てについて操作できること」が正解。

設問3 (1)

「自動対応機能専用の検証環境を標準サービス用の訓練環境とは別に用意した」狙いとは何か。[M社プロジェクトの移行条件]には、「標準サービスへの移行が最優先であり、これを確実に実施することが前提である。」と記述されている。そして、設問2(2)の通り、「全てのオペレータが担当業務の全てについて操作できること」という要件を達成するためには、外乱によるリスクを排除する必要がある。最初から標準サービス用の訓練環境と自動対応機能の訓練環境を統合してしまうと、自動対応機能の環境の不具合等が標準サービス用の訓練環境に悪影響を及ぼすリスクがある。「検証作業が,オペレータの標準サービスの訓練に影響を与えないようにするため」が正解。

設問3 (2)

[E社サービスとM社の状況]に、「自動回答率の目標値の達成に向けて、登録する問い合わせ解答シナリオや設定するパラメタを変更し、過去の応対データを用いて自動回答率を計測する作業を繰り返すという、実証実験的な進め方になる。」とある。実験的な進め方であるため、作業の進捗状況を踏まえて、自動対応機能の導入時期や自動回答率の目標値を見直す判断が必要になる。したがって、スケジュールに関する対応策は「自動対応機能の導入時期を遅らせる。」が正解。品質に関する対応策は、「サービス開始時の自動回答率の目標値を見直す。」が正解。