システム監査技術者:2019年 午後Ⅰ 問3

基幹システムのオープン化を題材として、長年保守を繰り返してきたシステムを再構築するプロジェクトの計画段階において想定されるリスクと、システム監査のポイントを問う問題。

IPAの平成31年度 春季試験 午後Ⅰ問題リンク

残念な私の解答

設問解答
設問1現在では使用されていない機能等の識別を行い、再構築の対象外とする計画であること
設問2プログラム変換ツールの変換精度や制約を事前にITベンダに確認し計画に対策を盛り込んでいるか
設問3設計書の内容と実システムの仕様とが一致しておらず、エラーの原因解析に手間取ると想定されるため
設問4WEBユーザインタフェースのプロトタイプを設計段階で作成し、ユーザに操作性を確認する
設問5現行システム全体の機能要件及び業務要件をカバーしたノウハウを集約するための計画

IPAの解答例

設問解答
設問1未使用の機能・画面・帳票について,再構築対象範囲からの除外を検討していること
設問2プログラム変換ツールのトライアル対象範囲が狭過ぎたり,偏ったりしていないこと
設問3設計書が最新ではないので,現新比較テストで不一致発生時に,原因解析に時間を要するから
設問4設計工程にも利用部門が参画し,プロトタイプなどで早期に操作性を確認してもらう。
設問5要件定義書や設計書を整理し,最新の要件や仕様を反映する計画が存在すること

解答の検討

設問1

現行システムのソフトウェア資産を「そのまま」流用すると、本システム再構築のコストが過大になる。分析工程の「計画の詳細」を問われている。
[本システム再構築計画に関するシステム監査]の(2)、箇条書き3番目に「現在では使用されていない機能・画面・帳票も存在する」と記述されている。使用されていないものを再構築の対象範囲としてしまっては、再構築コストが過大になる。したがって、「 未使用の機能・画面・帳票について,再構築対象範囲からの除外を検討していること 」が正解。
実プロジェクトでは、ドキュメントが最新となっておらず、業務全体を知悉した要因がいない中で、未使用の機能を識別するのに非常に時間がかかったりする。

設問2

製造工程でプログラム変換ツールによる変換作業で問題発生して滞ることがないように、分析工程で工夫できることは何か? [本システム再構築計画に関するシステム監査]の(1)③、表2の分析工程で、プログラム変換ツールのトライアル実施が記述されている。「実際にいくつかのプログラムを変換し」てみるとある。対象のプログラムの何%を対象にするかが工夫のしどころである。範囲が狭すぎては評価の精度が低くなる。また、機能特性によって、変換難易度の高いプログラムや低いものがあると想定できる。
「 プログラム変換ツールのトライアル対象範囲が狭過ぎたり,偏ったりしていないこと 」が正解。

設問3

現新比較テストが計画通りに進まないと考えた理由を回答する問題。
[本システム再構築計画に関するシステム監査]の(1)①、箇条書きの4つ目に次の記述がある。「設計書の内容と実際の機能仕様・プログラム仕様とが必ずしも一致していない状態となっており、保守業務ではテスト工程で発生したエラーの原因解析に手間取るケースもある」。設計書が最新でないので、時間がかかると言っている。
「 設計書が最新ではないので,現新比較テストで不一致発生時に,原因解析に時間を要するから 」が正解。

設問4

ユーザ受入テストで、システムの操作性で問題が表面化するリスクの軽減策を答える問題。
表1によると、新システムのUIはWebブラウザが使用される。 [本システム再構築計画に関するシステム監査]の(2)、 箇条書きの2番目に「利用部門はテスト工程から参画する計画である」と書かれているのが引っ掛かる。設計工程から利用部門が参画し、設計書の特に操作にかかわる部分を説明し、同意をとったり、プロトタイプを見せて操作イメージが変わることを予め知っておいてもらったり、NGなところはNGと言っておいてもらったりする必要がある。
「 設計工程にも利用部門が参画し,プロトタイプなどで早期に操作性を確認してもらう。 」が正解。

設問5

第2段階では、「システム機能の再配置、業務処理の最適化など、業務機能を見直す」とある。一方、 [本システム再構築計画に関するシステム監査]の(1)①、箇条書きの5つ目に 「現行システム全体の機能要件及び業務要件について精通した部員がいない」と記述されている。この状況で、 現行システム全体の機能要件及び業務要件をカバーしたノウハウを集約するためにどうすればよいかというと、設計書を最新化するより他の方法はない。「部員を育成する」などよりは確実な方法といえる。
「 要件定義書や設計書を整理し,最新の要件や仕様を反映する計画が存在すること 」が正解。