Windows 11が2度に一回起動できなくなったときには

PCの起動時に、Windowsロゴが表示されたまま停止して先に進まないという現象が頻繁に起きる(図1)。強制終了して再度起動すると正常に起動が完了する(図2)。

図1 この状態でフリーズする
図2 フリーズ状態で強制終了して再度起動すると正常に起動される

2度に1度フリーズするので、起動が面倒。
このような現象が発生した場合のフリーズ回避す方法を紹介します。
なお、筆者の環境ではWindows 11を24H2にバージョンアップすると、フリーズ現象が発生するようになりました。

原因と対処方法の簡単な説明

上記の原因で考えられるものは、「高速スタートアップ」(後ほど詳しく説明します)が正常に行われない、というものです。そこで、高速スタートアップを回避する設定や操作方法を行うことにより、フリーズを回避します。

フリーズを回避する3つの方法とは

方法1: 電源オプションで高速起動を無効にする

この方法のメリットは、一度設定を行うと高速スタートアップが無効化されるので、面倒な操作やコマンドが必要なくなることです。

スタートメニューから「コントロールパネル」を検索し、開きます。

①Windowsのロゴをクリックします。
②検索窓から”cp”と入力します。
③検索結果に「コントロールパネル」が表示されるので起動します。

「ハードウェアとサウンド」をクリックします。

「電源オプション」を選択します。

左側のメニューから「電源ボタンの動作を選択する」をクリックします。

上部に表示される「現在利用可能ではない設定を変更します」をクリックします。

ウィンドウの下にある「シャットダウン設定」セクションの「高速スタートアップを有効にする (推奨)」にチェックを外します。続いて「変更の保存」をクリックします。

上の画面に遷移したらコントロールパネルを終了します。

方法2: Shiftキーを使ってシャットダウン

  1. Windowsアイコンをクリックし、スタートメニューを表示します。
  2. 電源アイコンをクリックします。
  3. キーボードのShiftキーを押しながら「シャットダウン」をクリックします。これにより、完全なシャットダウンが実行され、次回起動時の高速起動が無効になります。

方法3: コマンドプロンプトを使ってシャットダウン

  1. コマンドプロンプトを開く: スタートメニューを開き、検索バーに「cmd」と入力してコマンドプロンプトを起動します。
  2. シャットダウンコマンドを入力: 次のコマンドを入力し、Enterキーを押します。 このコマンドは、即座に完全なシャットダウンを行います。
shutdown /s /f /t 0

なぜ高速スタートアップの問題と特定できたか

起動時にフリーズするので、当然起動プロセスが怪しいわけですが、2回に1回フリーズすることがヒントでした。正常にシャットダウンして次回起動する場合は、高速スタートアップが有効となりますが、必ずフリーズしました。
フリーズ状態から強制終了(電源オフ)した直後は、高速スタートアップが無効な状態に遷移していると推測しました。強制終了直後は1度もフリーズしなかったので、高速スタートアップ・オフを試行してみると、フリーズは解消されました。

ハイブリッドシャットダウンの仕組み(参考まで)

「高速スタートアップを有効にする (推奨)」オプションを有効にすると、Windows 11の起動が早くなる理由は、ハイブリッドシャットダウンという仕組みを利用しているからです。以下にその仕組みを詳しく説明します。

  1. カーネルの状態を保存
    • 高速スタートアップを有効にすると、PCをシャットダウンする際に、通常のシャットダウンとは異なり、システムカーネルの状態が保存されます。カーネルとは、OSの中核部分で、ハードウェアとソフトウェアの間のやり取りを管理する重要なコンポーネントです。
    • 通常のシャットダウンでは、すべてのシステム状態がクリアされますが、高速スタートアップではカーネルのメモリイメージがディスクに保存されます。これを「ハイブリッドシャットダウン」と呼びます。
  2. ハイバネーションファイルの利用
    • 高速スタートアップは、ハイバネーション(休止状態)機能を部分的に利用します。具体的には、カーネルの状態とドライバ情報がハイバネーションファイル(hiberfil.sys)に保存されます。これにより、次回の起動時にカーネルの初期化が不要になります。
  3. 起動プロセスの短縮
    • 起動時には、保存されたハイバネーションファイルを読み込み、カーネルの状態を復元します。これにより、カーネルの再起動にかかる時間が短縮されます。また、ドライバの再読み込みや初期化が不要になるため、全体的な起動プロセスが高速化されます。

高速スタートアップの利点と欠点

利点:

  • 起動時間の短縮: カーネルの再初期化が不要になるため、PCの起動が通常よりも早くなります。
  • 快適な操作感: 特に頻繁にPCを使うユーザーにとって、起動時間の短縮はストレス軽減に繋がります。

欠点:

  • システムの完全リフレッシュが困難: 高速スタートアップが有効な場合、シャットダウンしても完全なリセットが行われないため、一部のシステムトラブルが解消されにくいことがあります。
  • デュアルブート環境での問題: 他のOS(Linuxなど)とのデュアルブート環境では、高速スタートアップが問題を引き起こすことがあります。そのため、デュアルブートユーザーは高速スタートアップを無効にすることが推奨される場合があります。