Mesenは、レトロゲーム愛好家や開発者から高く評価されている多機能・高互換性のマルチエミュレーターです。以下に、特徴を詳しくまとめました👇
🎮 Mesenの主な特徴
項目 | 内容 |
---|---|
対応機種 | NES / SNES / Game Boy / GBA / PCエンジン / SMS / GG / WonderSwan |
対応OS | Windows / Linux / macOS(64bit) |
高互換性 | ROMの動作率が非常に高く、バグや不具合が少ないと言われている |
チート機能 | Game Genie / Pro Action Replay / Game Shark などに対応 |
デバッグ機能 | メモリビューア、レジスタビューア、スプライトビューアなど開発者向けツールが充実 |
ステートセーブ | 最大10スロット、プレビュー付き、外部ファイル保存も可能 |
巻き戻し機能 | 任意のタイミングでプレイを巻き戻せる(例:魔界村の攻略に便利) |
ゲーム速度調整 | 25%〜300%まで自由に変更可能 |
Luaスクリプト対応 | ゲーム画面に独自のHUDや情報を追加可能(例:ドルアーガの塔にLIFEゲージ追加) |
BIOS対応 | FDS, SGB, GBA, PCE-CD などのBIOSを読み込んで動作可能 |
🌟 Mesenの良いところは
- 高画質フィルター:NTSC再現、xBRZ、LCD Gridなど豊富なビデオフィルターに対応
- 軽快な動作:比較的軽量で、古いPCでも快適に動作
- 自動セーブ&再開:前回終了時の状態からすぐに再開できる
- UIが直感的:設定画面が分かりやすく、初心者でも扱いやすい
- 開発者にも人気:デバッグ機能が豊富で、ROM解析や改造にも使われる
🎮12年前の中古PCで動作する?
🖥️本稿では、富士通製ESPRIMO D582/FWでMesenを検証しました。このPCは富士通が2013年頃に法人向けに展開していた省スペース型デスクトップPCです。主にオフィス用途や業務端末として設計されており、安定性・拡張性・省電力性を重視したモデルといわれています。
📋 検証PCの概要
項目 | 内容 |
---|---|
発売時期 | 2013年9月頃 |
OS | Windows 8 / 8 Pro(64bit) →Windows 11 24H2にアップグレード。 |
CPU | Intel Core i5-3470 |
メモリ | DDR3 PC3-12800 16GBに増設 |
ストレージ | HDD 250GB / (7200rpm SATA) →SSD 500GBに換装 |
グラフィック | Intel HD Graphics 2500(CPU内蔵) |
12年前のPCでの検証結果は?
スーパーファミコンの「クロノトリガー」のほかに、弾幕シューティング「極上パロディウス」を、上記の検証用PCで試してみました。
結果、Intel Core i5-3470(内蔵GPU:Intel HD Graphics 2500)でも、Mesenでファミコンなどのレトロゲームは快適に遊べます🎮
また検証機はWindows 11動作に必要な要件を満たしていませんが、要件を回避してWindows 11 24H2をインストールしました。現在のところ、Mesenの動作には全く問題はありません。


✅ 快適に動作する理由とは
- Mesenは軽量なエミュレーター
NES(ファミコン)やSNES(スーファミ)など、描画負荷が低いため、CPU内蔵グラフィックでも十分。 - i5-3470は4コア3.2GHz(最大3.6GHz)で安定性が高い
レトロゲームのエミュレーションには十分な処理能力。 - Intel HD Graphics 2500は2D描画に強い
3Dゲームには不向きですが、NES/SNESレベルの描画には問題なし。

🛠 Mesenのインストール方法とは(Windows)
公式サイトへアクセス
Mesen公式サイト または GitHubのMesen2ページ から最新版をダウンロードします。

ダウンロード形式の確認と解凍
- 通常はZIP形式で配布されています。
- AppImage形式はLinux向けです。
- ダウンロードしたZIPファイルを任意のフォルダに解凍します。
必要なランタイムの確認と起動
.NET 6
または .NET 8
ランタイムが必要です。インストールされていない場合は、Microsoft公式サイトから入手してください。
Mesenは、解凍後に表示されるMesen.exe
をエクスプローラからダブルクリックして起動します。

初回起動時に上の画面が表示されます。
「Data Storage Location」では、設定やゲームの情報を保存する場所を選択します。筆者は「ドキュメント」に保存する設定としました。
「Input Mappings」では、PCに接続したゲームパッドの種類を選択します。筆者はPS4のゲームパッドを接続しました。
「Other Option」では、起動時にMesenの更新を確認する設定を選択できます。
🎮 コントローラーを設定しよう

メニューバーから「Settings > Input」を選択。

左で「Input」が選択された状態で、「System-specific settings」からゲーム機を選択します。ここでは、「SNES」(スーパーファミコン)を選択しました。

「Port1」の「Setup」をクリック。

各ボタン(A/B/スタートなど)にキーボードやゲームパッドのキーを割り当て。
「Port2(2P)」も同様に設定可能。
まずはゲームを起動してみよう


ゲームが起動しました。


ゲームパッドも正しく使えました。
🖼 画面サイズを決めよう
Mesenが表示するゲームの、ウインドウサイズを選択します。

- [Settings] > [Video Size]へ。
- 筆者はディスプレイにはみ出さない程度の画面サイズ[4x]としました。
🖼 画質・フィルター設定をするには
エミュレーターにおけるビデオフィルターとは、ゲーム画面の見た目を加工・補正するための映像処理機能です。昔のゲーム機は低解像度・ブラウン管表示が前提だったため、現代の高解像度ディスプレイでは「粗く見える」「雰囲気が違う」と感じることがあります。そこで、ビデオフィルターを使って当時の表示を再現したり、画質を向上させたりします。ビデオフィルターには多くの種類があり、レトロゲームやエミュレーション環境で映像を美しく、あるいは懐かしく見せるために使われます。
- 画質向上:ドット絵を滑らかに補間して高解像度化
- ぼかし・補間:ジャギー(ギザギザ)を軽減
- レトロ感の再現:CRT(ブラウン管)風のスキャンラインや色にじみを再現
- 液晶風再現:携帯機のLCD表示を模倣

- [Settings] > [Video Filter]でフィルターの一覧が表示されます。
- シェーダーやスケーリングフィルターを選択可能(CRT風、HQ2xなど)。
Mesenで選択できるフィルターの特徴は次の通りです。
🎞 NTSCフィルター(Blargg / Bisqwit)
種類 | 特徴 |
---|---|
Blargg | NTSCテレビの信号特性(色にじみ、スキャンライン、クロストーク)を再現。軽量で高速。 |
Bisqwit | より高精度なNTSCエミュレーション。2x/4x/8xなどの拡大率に対応。Blarggより重いが高画質。 |
🧠 用途:NESやSNESなど、NTSC信号を前提にしたゲームの「本物らしさ」を再現するために使われます。
🟩 LCD Grid(LCDグリッド)
- 液晶ディスプレイのピクセル構造(RGBサブピクセル)やグリッド感を再現。
- ゲームボーイやGBAなど、古い携帯機の液晶表示を模倣。
- 画面に格子状の模様を重ねることで、レトロな液晶感を演出。
🧠 用途:ゲームボーイやゲームギアなどの携帯機エミュレーションに最適。
🧩 xBRZ(Scale by Rules)
- 高品質な画像拡大アルゴリズム。
- エッジを検出して滑らかに補間するため、ドット絵がぼやけずに美しく拡大される。
- 2x〜6xまでの拡大率に対応。
🧠 用途:ピクセルアートをHD化したいときに最適。DOSBoxやScummVMなどでも使用されます。
📐 Scale(スケール)
- 単純なリサイズ処理。縦横の解像度を変更する。
- アスペクト比を維持したり、整数倍に拡大したりする設定が可能。
- 他のフィルターと組み合わせて使われることが多い。
🧠 用途:画面サイズの調整や、他のフィルターの前処理として。
🦅 SuperEagle
- 古典的な拡大フィルター。ドット絵を滑らかに補間。
- 斜めのエッジを検出して、ジャギーを減らす。
- 2x拡大に特化。
🧠 用途:古いエミュレータ(ZSNESなど)でよく使われていた。今ではxBRZなどに置き換えられることが多い。
🔍 Prescale(プリスケール)
- 描画前にあらかじめ拡大しておく処理。
- フィルターの精度を高めるために、整数倍で拡大してから他の処理を行う。
- 例えば、xBRZやNTSCフィルターと併用される。
🧠 用途:フィルターの効果を最大限に引き出すための補助的な設定。
🧮 Bilinear Interpolation(バイリニア補間)
- 最も基本的な補間方式。隣接するピクセルの平均値で滑らかに拡大。
- 処理が軽く、どんな環境でも使える。
- ただし、ドット絵がぼやける傾向がある。
🧠 用途:汎用的な拡大処理。ドット絵には不向きなことも。
💾 セーブ・ロード(ステートセーブ)
Shift +
F1〜F10キーでセーブスロットを選択。F1
などでロード。- メニューから「File > Save/Load State」でも操作可能。
🧪 チートコードの使用

「Tools > Cheats」を選択。

- Description:コードの説明
- Format:Game Genieなど「チートデバイスの種類(後述)」を選択
- チートデバイスに対応したフォーマットに従い、コードを入力

チートにより、レベルがMaxになりました。
🧪 Game Genieとは?
- 米Galoob社が開発した改造ツール
- カートリッジの間に挟んで使用
- コードは暗号化されており、見た目が独特
- 主にROMの命令(オペコード)を書き換えることで効果を発揮
🔤 コード形式
XXXX-YYYY(8文字+ハイフン)
🧬 Pro Action Replay(PAR)とは?
- 日本では「プロアクションリプレイ」として販売
- Game Genieと違い、RAM領域の値を書き換えるのが主な仕組み
- コードは生(RAW)コードで、暗号化されていない
🔤 コード形式
AAAAAAVV(8桁の16進数)
AA
はアドレス、AA
AAVV
は書き込む値
🎮 実例(PARコード)
ゲーム | 効果 | コード |
---|---|---|
クロノ・トリガー | 主人公レベル最大 | 7E5E3F 63 |
巻き戻し機能を使うには
🕹️巻き戻し機能は、プレイ中に数秒前の状態に戻れる便利な機能で、ミスした場面を即座にやり直すことができます。
🎮 操作方法(ホットキー)
操作 | デフォルトキー |
---|---|
巻き戻し開始 | [Back Space]キー(キーボード)の長押し |
巻き戻し停止 | キーを離すだけ |
※ゲームパッドからも操作できそうなものですが、方法が判明しませんでした。
🔧 巻き戻し機能の仕組みとは(推測)
- 内部で一定時間分のステート(状態)を記録し続ける
- プレイヤーが巻き戻しキーを押すと、過去の状態に遡って再開できる
- おそらくRAMを使用して記録するため、巻き戻し可能時間には限度があると思われる
スピード調整するには
低速化することで、難所の攻略や入力精度の向上にも活用できるため、巻き戻し機能と併用して使いたくなる機能といえます。
逆に高速化で序盤をスキップして本題に集中することもできます。

メニューバーから[Settings]>[Speed]を選択します。
以下のような速度を選択可能です。
- 25%(1/4速)
- 50%(半速)
- 100%(通常)
- 200%(2倍速)
- 300%(3倍速)

スピード調整と巻き戻し機能を駆使すると、ゲームのピンポイントのスクリーンショットを撮ることもできます。
💡 もし「重い」と感じたら
本稿で使用した検証機よりも低スペックのPCでも十分快適に動作する可能性があります。もし遊んでみて「重い」と感じたら、以下について検討してみてください。
- ビデオフィルターは軽めに設定
xBRZなど重いフィルターは避け、NTSC(Blargg)程度がおすすめ。 - ビデオサイズは4x以下がベスト
4xより大きくしても動作しますが、負荷を抑えるならビデオサイズ抑えめが快適。
さいごに
迷っているなら、まず触ってみてください。
Mesenは、ただのエミュレーターではなく、過去のゲーム体験を現代に最適化して届けてくれる“思考のツール”です。巻き戻し、ビデオフィルター、多機種対応…その一つひとつが、遊びだけでなく検証、記録、発見をサポートしてくれます。
どれだけ「本物らしさ」を再現できるかにこだわる人も、単純に快適に遊びたい人も、Mesenは“わかってる人向け”にも、“これからの人向け”にも応えてくれる環境といえます。
それでは、お楽しみください!!