通常、直流電流を計測するときは回路の一部を切断して、その回路に直列にテスターを挿入する形で接続する必要があります。しかしプリント基板などでは回路を切断してテスターをつなぐことができません。そのような場合に用いる「電圧降下法」による電流の推定方法を紹介します。
通常の電流測定方法とは
上のように、回路に直列にテスター(電流計)を接続して電流を測定します。
以下の実測した条件と結果を表にしてみました。
電源 | 5[V] |
抵抗 | 1[KΩ] |
電流の計測結果 | 5.82[mA] |
上はマルチメータで電流を計測した結果のスナップです。
電圧降下法による電流測定方法とは
抵抗Rに電流Iが流れると、その抵抗の両端に電圧降下による電圧Eが生じます。この電圧を、テスターの直流電圧(DC V)レンジで測定し、計算からその抵抗に流れる電流を求めます。
回路図は下の通りです。
ここでは、抵抗値をΩレンジで計測し、次に抵抗値にかかっている電圧をDC Vレンジで計測しました。
抵抗器の実測値は893Ωでした。安価な抵抗器だからか、差が大きめです。
上の図はKΩの単位で表示されています。
電圧は5.228Vでした。
ここで、オームの法則により、電流を求めます。
I=E/R
I:電流 E:電圧 R:抵抗
I = 5.228[V] / 893[Ω] = 5.85 × 10-3 [A] = 5.85 [mA]
結果は電流を直接測定した結果とほぼ一致しているといえます。
表に整理してみます。
抵抗 | 893[Ω] |
電圧の測定結果 | 5.228[V] |
電流の計算結果 | 5.85 [mA] |
電流の測定結果 | 5.82[mA] |
さいごに
電圧降下法による電流値の推定を実験してみました。
現在のマルチメータは安くても精度が高いので、正確に計算ができるようになっていると言えそうです。
皆さんもぜひ、お試しください。