本稿では、SEGA SATURN(サターン)のエミュレータであるSSFを紹介します。
セガサターンとは
セガサターン(Sega Saturn)は、1994年に日本のセガ(後のセガゲームス)から発売された家庭用ゲーム機で、1990年代半ばのゲーム業界を代表する家庭用ゲーム機の一つです。以下に詳細をまとめます。
スペックと特徴
セガサターンは、32ビットRISC CPU「SH2」を2つ搭載したデュアルCPUアーキテクチャを採用していました。このため、処理スピードや画像処理能力が高く、高度な3Dグラフィックスと複雑なゲームプレイを可能にしました。グラフィックスは24bitカラー(1677万色)で、ポリゴンによる3DCGゲームや高解像度の2Dゲームが多数登場しました。
サウンドはSCSP(Saturn Custom Sound Processor)とMC68EC000を搭載し、FM/PCM合計32chの音声をサポートしています。
評価と問題点
結論から言うとサターンは、期待されていたほどの成功を収められませんでした。
2つのプロセッサを効果的に活用するための複雑なプログラミング技術が必要であり、一定のノウハウがゲーム開発会社に蓄積されていないと、効率的なゲーム開発が困難でした。また、競合するプレイステーションがすぐ後に発売され、激しい競争が繰り広げられました。これらの経緯は、以下のBS-TBSのテレビ番組で、セガ関係者から詳しく述べられています。
「X年後の関係者たち ~あのムーブメントの舞台裏~ 『セガサターン・次世代ゲーム機』」
しかし、後年にはカルト的な人気を博し、日本では豊富なゲームライブラリとアーケードゲームの移植版が楽しめるゲーム機として再評価されています。
セガサターンは、その独自性と革新的なハードウェア設計により、ゲーム業界に重要な足跡を残したと言えます。
セガサターンエミュレータ SSFとは
SSFは、セガサターンのエミュレーターで、以下の特徴があります。
- 正確性: SSFは正確性を重視して開発されており、ほとんどのゲームが動作します。
- BIOS内蔵: 内蔵されたBIOSを使用するため、別途BIOSファイルを用意する必要はありませんが、BIOSを用意することで正確性が向上します。
- グラフィックス規格: Vulkanと呼ばれるグラフィックス規格をサポートしており、2016年以降のドライバが必要です。
- 再開された開発: 開発が一時停止していましたが、再開され、仮想ドライブ不要でイメージファイルから直接起動できるようになりました。
SSFの動作環境
- OS – Windows7/8/10/11
- CPU – FPU,MMX,SSE,SSE2,SSSE3,SSE4.1を搭載しているCPU
2コア以上
Intel Core iシリーズ
AMD Ryzenシリーズ - メモリ – 1GB以上
- ビデオ – DirectX11に対応しているカード
シェーダーモデル5.0に対応していること - サウンド – DirectX11に対応しているカード
48000Hz,ステレオPCMに対応していること - CDドライブ – MMC3に対応したドライブ
CDドライブはなくてもよい。CDのイメージファイルから起動可
SSFの注意点とは
注意点として、サターンのゲームは6ボタンが3つずつ2列に並んだ、独特のコントローラを使用します。そのため、SSFでは一般的なPS4、Switch、Xbox等のコントローラーでは扱いにくいため、メガドライブ風のコントローラーを用意することをお勧めします。

本稿では、8BitDo M30Bluetooth gamepad Model 80HA で検証を行いました。
SSFをインストールしよう

こちらのリンクから上のページを表示します。①Assetsをクリックしてダウンロード一覧を展開し、一覧の中から②最新バージョンをクリックしてダウンロードします。

ダウンロードしたファイルはZip形式で圧縮されています。エクスプローラからファイルを右クリックし、表示されたメニューの[すべて展開]を選択して解凍します。

上の画面では、[展開]を押します。

展開後は上のような名称のフォルダが作成されます。

解凍済みのフォルダをドラッグ&ドロップ等で分かりやすい場所に移動します。

筆者は C:\Opt\Games というフォルダを作成し、エミュレータを格納しています。
SSFを起動してみよう

エクスプローラから、”SSF64.exe”をダブルクリックして起動します。

上の画面が表示されれば、ひとまずOKです。

筆者は簡単に起動ができるように、タスクバーにピン止めしました。SSFのアイコンはEXEの標準アイコンなので、ちょっとわかりにくいですね。
SSFの初期設定をするには
画面サイズを大きくしよう
SSFのメニューバーから、[Option]>[Window Size]>[2x]を選択します。
一般的なディスプレイでは[2x]までが適正でしょう。高精細なディスプレイでは他の選択肢もお試しください。

コントローラーを設定しよう
本稿の検証では、8BitDo M30 80HAコントローラを使用しました。このコントローラは、最初にOSを意識した設定を行う必要があります。筆者はWindows 11で使用するため、Xinputモードにしました。具体的には、コントローラの[Start]+[X]キーを押します。Mac等他のOSで使用する場合は、コントローラの裏に記載された設定方法に従います。
PCにコントローラを接続して、以下の設定を行います。


上の画面から、下の設定を行います。
①[Controller]タブを選択します。
②「Port1」エリアのコントローラのI/Oインタフェース(接続仕様)が[Direct Connect]であることを確認します。
③「Player1:A」のコントローラの種類が[Control Pad]であることを確認します。
④[Redefine]を押します。

上の図のように、コントローラ入力が促されます。上の例は「十字キーの下」です。入力すると次の入力が促されるので、次々と入力していきます。

上のように、速射のキー入力も促されますが、もう一度同じキーを繰り返し入力して問題ないようです。

設定を保存するために、①[Save to SSF.ini]のチェックを入れます。
②最後に[OK]を押します。
ゲームを始めるには

メニューバーの[File]>[Load CDImage]をクリックします。
あらかじめ用意していたゲームのイメージファイルを指定します。


ゲームの起動に成功しました。
用意したBIOSを読み込ませるには
SSFは、サターンから吸い出さしたBIOSがなくてもゲームをプレイできます。しかし、できればBIOSを用意したほうが、互換性が高くなるようです。
本稿では、BIOSの吸い出し方は省略しますが、BIOSの設定方法を紹介します。
BIOSを配置しよう
SSFが格納されているフォルダにBIOSを配置します。

筆者は”BIOS”というフォルダを作成し、その中にBIOSファイルを格納しました(上の図)。
BIOSの設定をしよう
配置したBIOSをSSFが読み込めるように設定します。

SSFのメニューバーから、[Option]>[Option]を選択します。

①「Peripheral」タブが選択されていることを確認します。
②「Saturn BIOS」領域にある[Browse]を押します。ファイルを選択する画面が表示されます。BIOSが格納されたフォルダを開き、BIOSファイルを指定します。

ファイルの選択後、上図①のようにBIOSの場所が設定されていることを確認します。
②一応、「Save to SSF.ini」のチェックをし、③[OK]をクリックします。

SSFの再起動が促されます。[OK] を押します。

上の画面でSSFの終了確認の[OK]を押します。

再起動後、上のような画面が表示されれば、BIOSの読み込みは成功です。

しばらくすると、上の画面に遷移します。
さいごに
想像ですが、サターンはゲームセンターでプレイしていたみなさんが、ゲームセンターの空気感そのままで遊べる、大人のゲーム機だったのではないでしょうか?そのため、女性や子供には少しハードルを感じるゲーム機だったのかもしれません。しかし、当時のカウンターカルチャー的なゲームラインナップ特性が現代になって再評価されていることは見逃せません。
SSFでお楽しみください!