化学品メーカにおけるデジタルトランスフォーメーションの推進
IPAの令和元年(2019年)度 秋季試験 午後Ⅰ問題リンク
残念な解答例
設問 | 残念な解答 | 備考 | ||
---|---|---|---|---|
設問1 | (1) | 入力ミスや書類の入力待ちの停滞解消による品質の向上 | ||
(2) | メールに受信した書類の情報を貿易システムに手入力する作業 | |||
設問2 | マスタを検索したり、過去の契約情報を照合して認識率を高める作業 | |||
インターネットバンキングでのダウンロードとアップロード作業 | ||||
設問3 | (1) | 多くの種類のソフトウエアロボットが稼働し全体像と個々への影響が分からない状況 | ||
(2) | ソフトウェアロボットの障害により輸出入業務の作業が停止してしまうリスク | |||
IPAの解答例
設問 | 解答例 | 備考 | ||
---|---|---|---|---|
設問1 | (1) | 入力ミスのない正確性と書類が滞留しない即時性 | ||
(2) | 引渡条件や保険に関する情報を貿易システムに手入力する作業 | |||
設問2 | マスタを検索したり過去の契約情報と照合したりして確認する。 | |||
インターネットバンキングとの間で行う日次でのデータ交換 | ||||
設問3 | (1) | ソフトウェアロボットの稼働に関する管理が十分でないこと | ||
(2) | 一つのソフトウェアロボットの修正により,業務の継続性が脅かされるリスク | |||
解答の検討
設問1 (1)
ITの活用によって、具体的にA社輸出入業務のどのような品質を向上しようと考えたかを答える。
[A社輸出入業務の現状と課題]に、「入力ミスや書類の入力待ちの滞留など、A社輸出入業務の品質の低下が懸念されている」とある。一方、[IT活用の検討]では、「…作業を自動化することで、作業の正確性と即時性を高めることを目的とした実証実験を行った」と記述されている。正解は「入力ミスのない正確性と書類が滞留しない即時性」。解答を探る一つの方法として、[]で括られた単位の文章ごとに設問を眺め、ヒントとなる個所をメモるというテクニックがある。この問題のように、「品質の低下」といったキーワードが問題文のキーワードにヒットすると、その箇所をマークするのが有効だ。しかし、注意しなければならないのは、複数の文章に正解キーワードが分かれている場合。1か所のキーワードで満足してしまい、(私の残念な解答のように)正解文からワードが脱落してしまうケースがあるので、注意しよう。
設問1 (2)
ボトルネックとなる作業とは何かを答える問題。
ボトルネックは通常、最も負荷が大きい作業を指す。[A社輸出入業務の現状と課題]の「(2)A社輸出入業務の課題」に、「…引渡条件や保険に関する情報を貿易システムに手入力する作業の負荷が、最も大きいことが分かった。」と記述されているので、「引渡条件や保険に関する情報を貿易システムに手入力する作業」が正解。
設問2
OCRで識別ができなかった場合に、ソフトウェアロボットで行う作業を答える問題。
[A社輸出入業務の現状と課題]の「(2)A社輸出入業務の課題」に、「目視で読みにくい個所について、マスタを検索したり、過去の契約情報と照合したりして確認するか、海外の子会社・関係会社に連絡して確認するなどの対応を行っている。」と記述されている。さすがにソフトウェアロボットが各社に連絡して確認するのは困難と思われるので、正解は「マスタを検索したり過去の契約情報と照合したりして確認する。」。
設問3
貿易システムと関連するシステムとの連携上のプロセスについて改善できる作業を答える問題。
まず、連携上のプロセスを探す。[A社輸出入業務の現状と課題]の「(2)A社輸出入業務の課題」に、「インターネットバンキングでのダウンロード作業・アップロード作業は、1回あたりの捜査に手間がかかるので、1日1回しか行っていない。…しかし、A社輸出入業務のボトルネックとなる作業を改善しない限り、改善効果は小さいと考えた。」とある。設問では「作業の自動化が進んだ場合」とあるので、ボトルネックが解消された場合、効果が見込めると考えられる。
「インターネットバンキングとの間で行う日次でのデータ交換」が正解。
設問4(1)
実証実験を通じてわかった、統制上の課題を答える問題。
[実証実験の評価]では「自ら思い思いに多くの種類のソフトウェアロボットを作成…」とあり、「どこでどのようなソフトウェアロボットが稼働しているかを把握するのが難しくなった。」と記述されている。
「ソフトウェアロボットの稼働に関する管理が十分でないこと」が正解。
設問4(2)
実証実験で識別したリスクを答える問題。
正解は「一つのソフトウェアロボットの修正により,業務の継続性が脅かされるリスク」。